動物病院コラム

2016年8月12日 金曜日

毛包虫症(ニキビダニ症)

ニキビダニ症はニキビダニにより生じる皮膚疾患であり、犬に多く猫ではまれな疾患です。
犬のニキビダニ症の原因はDemodex canisという犬の毛包を好む種類の虫で、これが犬の毛包内に寄生します。
犬では生後72時間以内に母犬から子犬に伝播する常在寄生虫であり、ニキビダニ症の発症には何らかの免疫失調が関与すると考えられています。


症状は多彩な皮膚症状が見られます。
脱毛や色素沈着、発赤、鱗屑(ふけ)、ときに細菌感染を伴う毛包炎があります。
好発部位は頭部(目の周り)、頸部、四肢(肘や踵)などがあります。



このワンちゃんの脱毛しているところは全てニキビダニが見つかりました。

また発生している場所の数により局所性と全身性、発症年齢により若年性と成犬発症性とに分類されます。
局所性は1歳齢以下の幼齢犬で発生することが多く、適切な治療で改善することが多いです。
全身性の場合は若年性と成犬性があり、成犬性は免疫異常を起こす基礎疾患も併発してることが多く、
そちらに対する検査、治療も同時に行います。
全身性では治療を成功させることが極めて難しい症例もあります。

診断は臨床症状(発症している場所や痒みの程度)と皮膚の検査を行います。
皮膚の検査は『皮膚掻爬検査』『毛検査』『皮膚生検』などがありますが、『皮膚掻爬検査』が最も有用な検査です。
これは疑わしい部位の皮膚を絞りつつ引っ掻く検査になります。
少し出血しますが、この寄生虫のいる場所が皮膚の深い所なので、そこまで掻爬しないと検出できないことがあります。



これが検出されたニキビダニです。

ニキビダニ症の治療は、ニキビダニの駆虫、薬用シャンプーによる外用療法や細菌感染に対する抗生物質などと状況により治療法を選択します。
駆虫薬も日々進歩して、注射や液剤を内服する方法や、背中にスポットする方法や長期間効果が期待できる内服薬などもあり、より安全な治療が選択できるようになりました。

皮膚のトラブルは悪化する前に病院での診察をお勧めします。



獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック

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