動物病院コラム
2017年2月 2日 木曜日
疥癬症(かいせんしょう)
疥癬(かいせん)という皮膚病をみなさんは聞いたことがありますか?
疥癬はヒゼンダニ類が皮膚に寄生する皮膚の感染症で、激しい痒みを伴います。
ワンちゃんやネコちゃんだけでなく、ヒトでもヒゼンダニ類により発症します。
しかし、同じヒゼンダニ類でも犬ではイヌセンコウヒゼンダニ、猫ではネコショウセンコウヒゼンダニ、人はヒトヒゼンダニが原因となりますが、それぞれ違う動物にはうまく寄生できません。
例えばイヌセンコウヒゼンダニは犬の皮膚内にトンネルを掘り、そのトンネル内で生活し、また卵を産みます。卵からふ化した幼ダニは新たなトンネルを作ります。そうやって皮膚内でどんどん増殖していきます。
しかし、このイヌセンコウヒゼンダニが人の皮膚に接触しても、噛み付いて皮膚炎の原因にはなりますが、トンネルを掘ることは出来ません。
寄生はしませんが痒みは起こしますので、おうちのペットが疥癬になった場合には注意が必要です。
疥癬に対する治療は駆虫薬の投薬です。以前は飲み薬や注射薬でしたが、今は背中に滴下するスポット剤を使うことが多いです。
診断には特徴的な病変部(耳、手足、脇など)を掻爬(そうは)試験(小さなスプーン状の器具で皮膚をひっかく検査です)を行い、ヒゼンダニが検出されれば診断が確定します。通常は1カ所ではなく、数カ所を掻爬して検査します。ヒゼンダニは皮膚内で活発に移動しているので、掻爬試験で検出できないことも少なくありません。なので、数カ所を検査して検出率を上げるようにしています。
また疥癬による痒みの部位はアレルギー性皮膚炎と似た症状を示すことが多く、慎重に鑑別するために、初診時や治療経過中でも掻爬試験を度々行うことがあります。
皮膚科専門病院の獣医さんに聞いた話ですが、アレルギー性皮膚炎と診断された症例の二次診療を行ったところ、疥癬が検出されることがあるそうです。
初診時に掻爬試験で陰性でも、治療中にヒゼンダニに感染が見つかる事も少なくないというお話です。
皮膚炎の治療をしているのに急に痒みが増えたりしたら、疥癬の関与があるかも知れませんので、早めに診察を受けられてください。
獣医師 高木
疥癬はヒゼンダニ類が皮膚に寄生する皮膚の感染症で、激しい痒みを伴います。
ワンちゃんやネコちゃんだけでなく、ヒトでもヒゼンダニ類により発症します。
しかし、同じヒゼンダニ類でも犬ではイヌセンコウヒゼンダニ、猫ではネコショウセンコウヒゼンダニ、人はヒトヒゼンダニが原因となりますが、それぞれ違う動物にはうまく寄生できません。
例えばイヌセンコウヒゼンダニは犬の皮膚内にトンネルを掘り、そのトンネル内で生活し、また卵を産みます。卵からふ化した幼ダニは新たなトンネルを作ります。そうやって皮膚内でどんどん増殖していきます。
しかし、このイヌセンコウヒゼンダニが人の皮膚に接触しても、噛み付いて皮膚炎の原因にはなりますが、トンネルを掘ることは出来ません。
寄生はしませんが痒みは起こしますので、おうちのペットが疥癬になった場合には注意が必要です。
疥癬に対する治療は駆虫薬の投薬です。以前は飲み薬や注射薬でしたが、今は背中に滴下するスポット剤を使うことが多いです。
診断には特徴的な病変部(耳、手足、脇など)を掻爬(そうは)試験(小さなスプーン状の器具で皮膚をひっかく検査です)を行い、ヒゼンダニが検出されれば診断が確定します。通常は1カ所ではなく、数カ所を掻爬して検査します。ヒゼンダニは皮膚内で活発に移動しているので、掻爬試験で検出できないことも少なくありません。なので、数カ所を検査して検出率を上げるようにしています。
また疥癬による痒みの部位はアレルギー性皮膚炎と似た症状を示すことが多く、慎重に鑑別するために、初診時や治療経過中でも掻爬試験を度々行うことがあります。
皮膚科専門病院の獣医さんに聞いた話ですが、アレルギー性皮膚炎と診断された症例の二次診療を行ったところ、疥癬が検出されることがあるそうです。
初診時に掻爬試験で陰性でも、治療中にヒゼンダニに感染が見つかる事も少なくないというお話です。
皮膚炎の治療をしているのに急に痒みが増えたりしたら、疥癬の関与があるかも知れませんので、早めに診察を受けられてください。
獣医師 高木
投稿者 香椎ペットクリニック