動物病院コラム

2017年2月21日 火曜日

トリコモナス

寄生虫には体の中や表面に寄生する色々なものが存在しますが、今回はトリコモナスという寄生虫についてお話しします。



この写真は糞便検査による顕微鏡の画像です。
赤い丸で囲っているものがトリコモナスです。写真ではわかりにくいですが、実際に顕微鏡でみてみると色々な方向に動き回っているのがわかります。

この糞便検査を行った患者は、下痢が続いているとのことで来院した子猫でした。
トリコモナスは主に腸管に寄生して下痢や血便を引き起こします。下痢が酷くなって続くと脱水症状も起こしてしまいます。
この様な症状が出る子は免疫力がまだ低い生後間もない子猫や子犬が多いのです。

またトリコモナスは感染力が強く、寄生された子の排泄物から別の子によく感染してしまいます。
なので多頭飼いしているお家やペットショップなどでは、一頭がトリコモナスに寄生していると他の子達にも感染している可能性が高いです。
来院された子猫のお家も同居猫がいたので、下痢などの症状は出ていなかったのですが念の為に別の日に糞便検査を行ったところ、やはり感染していました。

またトリコモナスは人にも犬猫と同じように感染してしまうことがありますが、ほとんどの人の場合は犬猫に寄生しているトリコモナスが感染しても腸管に寄生しているだけで症状は出ません。
しかし、稀に犬猫と同じように下痢などの症状がでてしまうこともあるので寄生された子の世話をする時はきちんと消毒をして扱いましょう。

治療としては駆虫薬を飲ませて寄生したトリコモナスを駆虫することですが、下痢がひどい場合には腸内の細菌を整えるお薬も必要です。
また、トリコモナスは寄生した子の体調が悪かったりと免疫力が低下している時により活発になってしまうので食事管理等をしっかりして体調を整えることも大事です。

今回はトリコモナスについてお話ししましたが他にも寄生虫はたくさんいます。
特にペットショップから引き取ったばかりの子犬や子猫達の下痢の原因として寄生虫は少なくはないです。
寄生虫に感染している可能性があれば一度検査をしてみてはいかがでしょうか?
きちんとした駆虫をしていきましょう!

獣医師 木場

投稿者 香椎ペットクリニック

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