動物病院コラム

2017年5月 4日 木曜日

角膜の傷について

とあるワンちゃんが左眼を少し閉じ気味に来院されました。
オーナーに話を聞くと昨夜からソファーやカーペットに顔をしつこく擦りつけていたとのこと。
注意したら止めるにはやめるが、しばらくしたらまた擦っていたらしい。
一晩たって今朝になったら、ウィンクしてるみたいに片目をしょぼしょぼさせて、
真っ赤に充血して目ヤニも見られました。

診察の結果、眼の表面(角膜)に傷がついていました。
この傷によって眼の痛みが発生し、眼をしょぼしょぼさせる=羞明症状が見られました。
他の痛みの症状は、充血や流涙などがありますが、
強い痛みになると眼を閉じたり、触ろうとすると怒って噛み付いたりしますので注意が必要です。

角膜に付いた傷が深くなると角膜潰瘍になり、より強い痛みに変化します。
さらに細菌感染などで潰瘍が進行すると角膜に穴が空く、角膜穿孔という状態になり失明の危険性も出てきます。

眼に傷がつく原因は他のイヌ・ネコとの喧嘩、散歩中にゴミが入る、草木の中に入り込んで枝や葉で傷つけたりします。
また目の周りの皮膚のかゆみ、外耳炎、口腔のトラブルが原因のこともあります。
他には眼瞼の問題(内反症、外反症など)や異所性睫毛、乾性角結膜炎(KCS)などでも起こります。


診断はスリットランプによる角膜表面の傷の確認、フルオレセイン染色による角膜上皮の欠損の範囲を調べて判断します。





こちらはフルオレセイン染色を行ったときのものです。
わかりづらいですが黒目のところにうっすらと緑色に染まっている部分があります。
ここが角膜が損傷している部分になります。


治療は重症度によって変わりますが、
抗生剤や傷ついた角膜の再生を手助けするヒアルロン酸の点眼剤治療から開始することが多いです。
傷の深さや眼球の状態によっては緊急手術が必要な例もあります。

また治療中でも眼を気にしますので、悪化の防止のためにエリザベスカラーの装着は必要になります。


眼の異常は治療が遅れると重症化することもありますので、みなさまご注意ください。


獣医師 高木



投稿者 香椎ペットクリニック