動物病院コラム

2017年10月 9日 月曜日

水晶体脱臼

水晶体脱臼とは、眼の中にある水晶体が本来の位置から外れてグラグラしている状態を言います。
水晶体は、毛様体から伸びるも毛様小帯という線維が全周に渡って付着して支えられていますが、
その支えが切れると可動性が増して脱臼してしまいます。

原因は、先天性のものや、眼の疾患(白内障、ぶどう膜炎、緑内障、外傷など)からの続発性の発生も見られます。

水晶体脱臼の症状は程度や脱臼した位置により様々です。
一部分が切れた場合は亜脱臼、全部が切れた場合は完全脱臼と言い、
完全脱臼には虹彩(眼の中心付近にある茶色の部分)より前に偏位した「前方脱臼」と、
奥側(硝子体)に偏位した「後方脱臼」とに分類されます。

前方脱臼は後方脱臼に比べて、続発性緑内障やぶどう膜炎、
偏位した水晶体が角膜に炎症を起こしたりします。
動物たちが眼を気にしたり、閉じ気味だったり、充血したり、
眼の表面(角膜)が白く濁ったりしていたら要注意です。
後方脱臼や亜脱臼は前方脱臼に比べて、重篤な症状を示さない症例もありますが、
網膜剥離や、頻度は低いですが、ぶどう膜炎や緑内障を起こす可能性もあります。

また、後方に脱臼した水晶体が前方と後方を行き来するので、
無症状だったものが急に前方脱臼の症状を示すこともあります。

治療は外科手術もしくは保存療法となることが多いです。
前方脱臼や症状を示す後方脱臼の場合は外科手術を、
症状を見せない後方脱臼の場合は点薬による保存療法となります。



この写真は後方脱臼のネコちゃんです。
(目を正面から見た時計にみたてて)7~8時の方向に偏位した水晶体の端が見えています。
幸いにも、この症例は無症状に近く、点眼で安定しています。
目のトラブルは気付きやすいので、皆様もよく観察してあげてください。

獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック