動物病院コラム

2018年4月23日 月曜日

角膜潰瘍

以前、眼の表面(角膜)についた傷について
この場で話題にしたことがありましたが、
今回は角膜潰瘍についてお話しようと思います。

角膜に傷が入ると、
まず角膜由来のタンパク融解酵素を出して、
傷の不要組織を除去します。
それから欠損部を新しい細胞で充填させます。
その後、眼の表面の細胞(角膜上皮)を分裂させ、
その部分を覆って仮修復します。
受傷後、1週間くらいで完全に表面の欠損部は修復されます。

しかし、
傷に感染した細菌の増殖を阻止できなかったり、
抗生物質が効かなかったりすると、
タンパク融解酵素が過剰になり、
角膜の崩壊が促進され潰瘍化します。
最初はちょっと傷ついた程度の病態が、
適切な初期治療を受けられないと
角膜潰瘍やデスメ膜瘤といった状態まで
重症化してしまうことありえますので注意が必要です。



この症例は、
角膜損傷で点眼治療を行った症例の2週間目の状態です。
通常の点眼治療を行っていましたが、
あまり改善せず重症化しています。
激し痛みがあり、また血様の涙があったとのことなので、
角膜潰瘍からデスメ膜瘤、
さらに角膜穿孔にまで至った症例です。

緊急的に処置を行い、
またオーナーの献身的な治療(頻回の点眼)により
数ヶ月後にはこの状態まで回復しました。



中央部に白濁部は残っていますが、
視力に問題はなく、日常生活に問題はありません。

眼の表面の傷も軽いものなら自然に治癒するものもありあますが、
長期化・重症化することもあります。
眼が痛そうなときは早めの受診を心がけてください。

獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック