動物病院コラム

2019年8月 2日 金曜日

難治性角膜潰瘍

角膜潰瘍とは角膜上皮が損傷し、実質まで到達した状態を指します。難治性角膜潰瘍とは一定期間の治療を行っても改善が見られない潰瘍を表します。
この病気の同義語として、無痛性角膜潰瘍、ボクサー潰瘍、再発性上皮びらん、慢性角膜上皮欠損、SCCEDsなどがあります。

通常、角膜上皮が損傷するとすぐに損傷部位の周囲の上皮細胞が反応して、損傷部(欠損部)に覆いかぶさるようにして修復していきます。しかし修復された角膜上皮がその下にある実質にくっつかずに浮いた状態になることがあります。これでは角膜潰瘍が治癒した状態ではないので、痛みも収まらず、涙や目やにも改善しません。

フローレス検査やスリットランプ検査で、損傷部や角膜表面を精査して診断していきますが、診察までの経緯やお家での状況(いつから症状があるのか、日によって状況が違うのか等)も診断には重要な要因になります。

この病気の治療は点眼だけで治すことは困難で、浮いた角膜上皮を剥がすデブライトメントや、表面に敢えて傷をつけて上皮の接着を促進する点状または格子状切開を組み合わせて治療していきます。



右下あたりに白く円型になったところが角膜上皮が浮いているところです



染色検査を行ったところ、緑色の染まっているところ全体が上皮が損傷している部分です。この症例は点眼治療と外科治療の組み合わせで改善しました。
しかし、この病気は『再発しやすい』という厄介な特徴を持っていますので、十分にオーナーにインフォームドして経過観察しています。

なかなか治らない眼の痛みが見られたら、この病気の可能性もありますので、
様子を見ずに診察を受けましょう。

獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック