動物病院コラム

2020年5月16日 土曜日

ダックスの結直腸炎症性ポリープ

最近、難治性の下痢、血便を主訴に
当院へセカンドオピニオンで来院した症例がありました。

結果的には、原因は下痢ではなく、
大腸のポリープに起因する「しぶり」と診断しました。
しぶりとは、便意があり、残便感があるにも関わらず、
便がなかなか出ず、わずかな便が排泄される状態です。

なぜ下痢と思ったか?
しぶりにより、大腸粘膜からの粘液やポリープから出血した血液が、
少量頻回に下痢のように排泄されたからだと推測されます。

ポリープは結腸と直腸の境目あたりに、
全周にわたって存在しており、
まずは内視鏡で一部組織を採材、
病理検査を行いました。

結果は表題の、
ダックスの結直腸炎症性ポリープ、でした。

このポリープは大型で孤在性であれば、
外科的切除が適応になりますが、
基本的には、免疫抑制療法による内科治療となります。

数ヶ月にわたる投薬治療が必要で、
治る子もいれば、再発する子もいます。
一生投薬が必要な子もいます。

今回の症例で、「臨床症状」を正確に捉える重要性を、
改めて再認識させられました。

どんな症状なのか。
その症状から候補となる疾患を想定しつつ検査を進める。
検査結果から、その症状が確実に説明できるのかどうか。
つまり、症状と検査結果に矛盾が生じていないことを確認していく作業を行いつつ、
その都度対応した治療を行っていく、これが小動物臨床なんですね。

今後も、症状から経験的、希望的観測で疾患を決めつけてしまわないよう、
しっかりと説明できる獣医師でありたいと思います。

獣医師 河野

投稿者 香椎ペットクリニック