動物病院コラム
2021年10月20日 水曜日
口腔内腫瘍
今回は口腔内に発生した腫瘍について、お話ししたいと思います。
患者は高齢のダックスで、主訴は昨日からご飯を食べないとのこと。
通常、問診をしていきながら鼻先から尻尾まである程度視診、触診を行っていくのですが、最初のお口の視診で、お口の奥に大きな腫瘤が見えました。
その上で問診をすすめると、いびきのような呼吸音と、数ヶ月前から舌をペロペロする仕草があったことが判明しました。
よく観察すると、その腫瘤は軟口蓋(お口の奥の上側の柔らかいところ)から発生していました。
これであれば、腫瘤の増大と、臨床経過(下をペロペロする→いびき→食欲廃絶)の内容が合致します。
この腫瘤は除去しない限り自ら食べることは難しそうです。
高齢ではあったものの、オーナー様と協議の末、手術する事になりました。
画像は仰向けにしてお口を開いた状態です。
画像の中央に、舌に接する楕円形の腫瘤が見られます。
この後、この腫瘤を切除し、縫合を行いました。
切除した主流は病理検査に提出し、「悪性メラノーマ」との診断結果でした。
口唇やお口の中の出来物は悪性のことも多く、場合によっては歯や顎の骨を一部除去して行う場合もあります。
軟口蓋は比較的柔らかい組織で縫合は容易ですが、範囲が狭いので大きく切り取ることができません。
悪性の場合は正常組織を含め大きく切除しないと再発することが多いのですが、
今回もギリギリでの切除になり、再発の可能性は極めて高いと予測されます。
今後は抗がん剤治療を進めていくことになりますが、
高齢でもあるので、QOL(生活の質)を落とすような厳しい治療内容ではなく、
しかしある程度メラノーマも抑えられるような治療内容を行っていければと思います。
お口の中の腫瘤は、見えにくい分、やはり発見が遅れがちです。
腫瘤が小さければ小さいほど、正常組織を含め大きく取り切ることが可能になります。
早期発見が大事なのですが、それには、初期の症状を見落とさないことが重要です。
今回の例で言えば、数ヶ月前から舌をペロペロしていた、これが初期症状になります。
小さな症状でも、何かいつもと違うと感じたら、早めに病院に相談して頂ければと存じます。
獣医師;河野
患者は高齢のダックスで、主訴は昨日からご飯を食べないとのこと。
通常、問診をしていきながら鼻先から尻尾まである程度視診、触診を行っていくのですが、最初のお口の視診で、お口の奥に大きな腫瘤が見えました。
その上で問診をすすめると、いびきのような呼吸音と、数ヶ月前から舌をペロペロする仕草があったことが判明しました。
よく観察すると、その腫瘤は軟口蓋(お口の奥の上側の柔らかいところ)から発生していました。
これであれば、腫瘤の増大と、臨床経過(下をペロペロする→いびき→食欲廃絶)の内容が合致します。
この腫瘤は除去しない限り自ら食べることは難しそうです。
高齢ではあったものの、オーナー様と協議の末、手術する事になりました。
画像は仰向けにしてお口を開いた状態です。
画像の中央に、舌に接する楕円形の腫瘤が見られます。
この後、この腫瘤を切除し、縫合を行いました。
切除した主流は病理検査に提出し、「悪性メラノーマ」との診断結果でした。
口唇やお口の中の出来物は悪性のことも多く、場合によっては歯や顎の骨を一部除去して行う場合もあります。
軟口蓋は比較的柔らかい組織で縫合は容易ですが、範囲が狭いので大きく切り取ることができません。
悪性の場合は正常組織を含め大きく切除しないと再発することが多いのですが、
今回もギリギリでの切除になり、再発の可能性は極めて高いと予測されます。
今後は抗がん剤治療を進めていくことになりますが、
高齢でもあるので、QOL(生活の質)を落とすような厳しい治療内容ではなく、
しかしある程度メラノーマも抑えられるような治療内容を行っていければと思います。
お口の中の腫瘤は、見えにくい分、やはり発見が遅れがちです。
腫瘤が小さければ小さいほど、正常組織を含め大きく取り切ることが可能になります。
早期発見が大事なのですが、それには、初期の症状を見落とさないことが重要です。
今回の例で言えば、数ヶ月前から舌をペロペロしていた、これが初期症状になります。
小さな症状でも、何かいつもと違うと感じたら、早めに病院に相談して頂ければと存じます。
獣医師;河野
投稿者 香椎ペットクリニック