動物病院コラム

2021年12月 1日 水曜日

唾液腺嚢腫(唾液腺嚢胞)

今回は唾液腺嚢腫という疾患についてご紹介いたします。

犬の唾液は、耳下腺、下顎腺、舌下腺、頬骨腺などの大唾液腺と、軟口蓋、唇、舌、頬に散在している小唾液腺より分泌されておりますが、唾液腺嚢胞は大唾液腺導管の閉塞や破裂により、唾液が皮下組織に漏出し貯留して発症します。

下顎腺で発生することが多く、この場合は頚部腹側の腫脹のみでその他の症状は出ないことが多いですが、舌下腺で発生した場合は、舌の下や奥が腫れるため、閉口障害や嚥下障害、呼吸困難につながるケースもございます。

実際の症例のCT画像がこちらです。



赤線で囲った部分が唾液腺嚢腫です。

一見すると皮膚にしこりができており、腫瘍ではないかと心配される方もいらっしゃいますが、唾液が貯留しているだけで身体に大きな害が出ることは少ないです。

根治のためには外科手術により唾液腺ごと切除する必要がありますが、定期的に針を刺して中の唾液を抜いて経過をみている症例も存在します。



上の画像は実際に抜去した液体を顕微鏡で観察したものになります。
唾液腺細胞のみで悪性腫瘍を疑う細胞ではございません。


この疾患ですが、リードなどによる外傷なども原因と考えられております。

顔や首などが腫れてきてしまった場合はこういった病気の可能性もあるため、腫瘍性のものであるかを判断するために検査をお勧めいたします。

永松

投稿者 香椎ペットクリニック

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