動物病院コラム

2020年11月14日 土曜日

保湿剤

これから迎える寒い冬は、特に肌が乾燥しやすくなる季節です。冬は空気が乾燥していて、皮膚の水分がどんどん蒸発していきます。それに伴い、皮膚の水分と皮膚表面の皮脂のバランスが異常をきたし、皮膚表面のバリア機能が低下し、皮脂の量も減って「乾燥肌」になってしまうのです。



乾燥肌への対処法として、保湿剤を使ってコントロールを目指していきます。保湿剤には大きく分けて2種類あります。

①    エモリエント 角質層から水分が逃げないように蓋をする

②    モイスチャライザー 角質層に直接水分を供給する

皮膚の状態や病態に応じて、2種類を使い分けたり、同時に使用したりします。

代表例として①は「ワセリン」「ミネラルオイル」「スクワラン(油脂の一種)」等があり、②には「ヘパリン類似物質」「尿素」「ヒアルロン酸」「セラミド」等が入ります。



この「ヘパリン類似物質」はヒルドイドという名称で皮膚科でよく処方される保湿剤です。以前は皮膚科でしか入手出来なかったのですが、現在は市販品でも多く見かけるようになりました(最近、ジャニーズがCMしてた気がします)。

ヘパリン類似物質には<保湿><血行促進><抗炎症>の3つの作用があり、冬の乾燥肌だけでなく、アトピー性皮膚炎のコントロールにも効果を示します。アトピー患者は皮膚の水分保持能力が低下しているので、ずっと乾燥肌の状態だからです。







当院ではローションタイプとクリームタイプがあります。使用する際は、塗布する状況により分けています。下腹などの被毛か少ないところはクリームタイプを使用し、被毛が多いところはクリームだと塗り辛いのでローションタイプを選択したりします。



人もそうですが、動物達の皮膚も乾燥は大敵です。アトピー性皮膚炎の患者さんも内服薬や食事のコントロールだけでなく、皮膚のケアを加えることで、より良い状態がキープされるかも知れません。

気になる方はお気軽に相談してください。



獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2020年11月 4日 水曜日

CT検査のいろいろな見方

CT検査について、皆さんはどのようなイメージを持たれているでしょうか?

CT検査はレントゲン検査の一種です。

例えば、レントゲンを頭の先から尻尾まで細かく何枚も撮って、

それらを一枚ずつ見るのではなく、コンピューターが立体的に一つの個体として構築してくれるのです。

その立体的に構築された物を、どの断面でも、どの角度でも、どの厚みでも見ることができるのです。

そうやって構築されたもがこれ。


ワンちゃんの外貌です。
毛はうつりませんが、皮膚はリアルに見えます。

次は骨を中心に見てましょう。


ちょっと斜め上から見てる感じです。
次は真横から見ると、


次に、胸やお腹の中を見ていきましょう。


ちょっと骨が邪魔で見にくいので、骨を外します。


以上のように、実にいろいろな見方ができるのがCT検査です。
実際に僕らがみていく場合は、MPRと言って、3方向の断面でみていくことが多いです。

これがMPR画面です。
この画面の場合で、左上、左下、右、の3画面があります。
細かくて見にくいですが、拡大して見てみてください。
左上の画面は、右と左下の画面のオレンジのラインの断面、
左下の画面は、右と左上の画面の紫のラインの断面、
右の画面は、左上と左下の画面の青のラインの断面、
となります。
、、、なんとなくわかるでしょうか?
これらのラインを動かすことで、各画面が連動して断面を連続的に観察することが可能です。

CT検査は、多くの場所を、より細かくみていくことができます。
その分、その情報量はかなりのものになります。
当院では、撮影したCTデータを当院獣医師が診るだけでなく、
画像診断専門医にも読影依頼することで、
より精度の高い検査にしていく事を心がけています。

以上、CT検査のいろいろな見方、でした(^^)

獣医師;河野





投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

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