動物病院コラム

2020年12月14日 月曜日

腹腔内巨大腫瘤

今回は他の病院からの紹介で当院を受診した症例についてお話いたします。

お腹が張ってきて、数日前から食欲不振、嘔吐が認められたためかかりつけを受診されたとのことです。
レントゲンおよび超音波検査でお腹の中に9㎝大の巨大な腫瘤が認められたため、精査の為に当院に来院されました。

当院でCT検査を実施いたしました。

すると、、、、





腹部の左を中心として、腹腔内のほとんどを占拠する巨大な腫瘤が認められました。

CT検査は臓器の位置関係や腫瘤の発生部位の特定に非常に役立ちます。
この症例の際も、腎臓や脾臓など怪しい臓器と、この腫瘤に連続性があるかを読影することにより、
この腫瘤がおそらく生殖器(卵巣、子宮)から発生していることが識別出来ました。

この症例については同時に子宮蓄膿症も併発していたため緊急手術となりました。

膿が溜まった子宮とともに巨大な腫瘤を摘出いたしました。

実際に摘出したものがこちらです。



これほど巨大な腫瘤がお腹に存在していたら具合わるくなりますよね。。。。

この症例は手術をしてみるみる元気になってくれました。

また、驚くべきこととしてこの摘出した腫瘤を病理検査を依頼したところ、平滑筋腫という良性の腫瘍でした。

こんなに大きくなるようなものであっても、良性の腫瘍であれば、
摘出が出来れば再発や転移の心配はないという結果だったので、非常に驚きました。

腫瘤の大きさだけで良性悪性の判断は出来ないんだと、改めて感じました。

獣医師;永松

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2020年12月 1日 火曜日

CT検査vol.32

今回紹介させていただく症例は、胆石症の猫です。




赤い丸で囲った白い物体が胆石です。

結構、胆管内にゴロゴロありますね。

一般的には、犬に多い症例ですが、今回の症例は猫で、しかも4〜5歳という若い子で発症しておりました。

発症の原因としては、食餌環境、体質・遺伝など様々です。

ちなみに、この症例の子は、ほうれん草をよく食べさせたようで、ほうれん草に含まれるシュウ酸は尿路結石症を引き起こしてしまうので、もしかしたら胆石症の原因にもなっていたかもしれません。

また、胆嚢からは、胆管といわれる管が出ており、十二指腸に開口していますが、膵臓からは、膵管といわれる管が出ており、これも十二指腸に開口しております。
これらの部分の解剖が犬と猫では少し違います。

犬では、胆管と膵管が別々に十二指腸に開口しているのに対して、猫では、胆管と膵管が一緒に開口しています。
なので、猫の胆石症では膵管と合流している胆管に胆石が詰まってしまうと、膵液が漏れ出てしまうことがあるので、同時に膵炎を発症してしまうことがあります。

幸いにも、今回の症例の猫は画像的には、一見、胆管内の胆石が詰まっているようですが、完全に閉塞はしていないようで、膵炎までは発症していませんでした。

腹部エコーでも、ある程度の胆石や胆管の詰まり具合は確認できましたが、今回の症例は手術を検討しており、術前に、より正確に胆石の位置、胆嚢・胆管の状態を把握するためにCT検査を実施しました。



獣医師 木場

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

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