動物病院コラム

2021年10月 6日 水曜日

犬のリンパ腫④

今回もリンパ腫の紹介です。

今回の症例は10歳ほどのミニチュアダックスです。

食欲不振、嘔吐、下痢を主訴に来院されました。


検査を実施したところレントゲン検査において





赤矢印のいちに糞塊のような腫瘤が認められます。

CT検査をしてみると、、



通常の消化管構造と全く異なる病変部が認められました。

病変の周囲には腹膜炎を示唆する所見も確認できます。

また病変の周囲のリンパ節が腫大していたため細胞診検査を実施したところ



大型のリンパ球が多数認められ、悪性所見である核分裂像(赤く囲った箇所)も確認されました。

以前お話ししたようにリンパ腫の治療は一般的には化学療法(抗がん剤)ですが、この症例では上記の病変が消化管の通過障害を引き起こしていたため、外科的に病変を切除いたしました。


病理結果は消化器型リンパ腫(悪性)でした。


消化器型リンパ腫は、以前紹介した縦郭型リンパ腫や、一般的に多く認められる多中心型リンパ腫と比較して予後が悪いといわれています。

この症例は病変がなくなり食欲など一般状態は回復してくれました。

手術後の抗がん剤治療については副作用などもあるため、飼い主様と相談していこうかと思います。

獣医師;永松

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2021年10月 6日 水曜日

マイクロチップの装着

私事ですが、つい先日、母が新しい家族を実家にお迎えしたようです。それは下の写真のまだ2カ月齢になったばかり、トイプードルのティラちゃんです。









ここだけの話ですが、ワンちゃんを迎えるにあたっての準備やお世話の仕方など、色々聞かれて大変でした。

その中で、「マイクロチップはつけた方がいいの?」という質問に正直上手く答えられなかったので、今回は簡単に調べてみました。





すると、現段階では特定動物(危険な動物)や特定外来生物を飼う場合にのみマイクロチップの装着が義務づけられているみたいです。



しかし、動物愛護法の改定で来年(2022年)6月以降、犬猫においても販売業者(ペットショップさんやブリーダーさん等)でのマイクロチップ装着や情報登録の義務化されるところのようです。

新しくワンちゃんを飼った飼い主さんに課せられる義務は登録情報の変更のみとなります。



ここで母からの質問、「マイクロチップはつけた方がいいの?」ですが、飼い主さん目線で付けた方がいい理由は以下の2つかなと思います。

1.脱走や災害時の迷子犬と飼い主さんとの再会率を上げるため

2.海外へ入国の際にマイクロチップ装着が必要な国もあるため



マイクロチップは約2㎜×12㎜と小さなものですが金属です。表面は生体適合ガラスで覆われているので、金属アレルギーの心配はいらないのかなと思います。MRI画像検査での金属アーティファクトは多少存在しそうですが、普段の診察で『マイクロチップをつけているからMRIが撮れない!』なんてことはありません。



以上より、大きなデメリットはあまりないように感じます。しかし、数万件に1~2頭の確率で、装着後にアレルギー反応が認められただとか、マイクロチップ装着部位に感染や腫瘍形成が認められたという海外の報告もあるみたいです...。



獣医師の立場としては、これらの情報を提示した上で、話し合って決めていきたいと思います。





最後に、ティラちゃんには母とともに健康で元気に長生きしてもらいたいなと思います。

また、緊急事態宣言も解除されたので、いつか鹿児島まで会いに行きたいなと思います。





獣医師:田上

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2021年10月 3日 日曜日

犬のリンパ腫③

犬のリンパ腫③

少し前にリンパ腫についてお話いたしましたが今回もリンパ腫について症例を紹介します。

今回の症例は若齢のペキニーズでしたが、口唇の一部の色素が薄くなってきたため受診されました。



一般的に体表にできものが形成された場合は細胞診検査(FNA)という、針を刺して細胞を採取して顕微鏡で観察する検査を実施して、どういったものであるかを推測することが多いですが、

今回の場合、病変の形成部位が口であったため針を刺すことが困難でした。

このため、経過を見ていたのですがゆっりりと膨らんできたため、オーナーと相談の結果、全身麻酔での手術に踏み切りました。

切除したものを病理検査に依頼したところ、皮膚型リンパ腫(悪性)という診断でした。

幸い、今回の病変は単一病変であったので、切除後は化学療法を実施せずに経過を観察しております。

半年ほど経過しておりますが、明らかなリンパ腫の再発、転移を疑う病変は認められておりません。

できものを切除して病理検査を実施すると意外な結果が判明する場合もあるため、細胞診検査が難しい場合は思い切って切除していくことも大事なんだと感じました。

獣医師;永松

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2021年10月 3日 日曜日

猫の便秘②

猫の便秘②

以前にも猫の便秘についてご紹介させていただきましたが、今回の症例は今までで一番大変な症例でした。

かかりつけの病院で1週間ほど入院して点滴をしながら浣腸をしていたそうですが、全く効果がなく当院に来院されました。

当院に来院された際のレントゲン画像がこちらです。





便の塊が白っぽく映っております。


この症例は体重が9㎏を超えており肥満体形でした。

4㎏程の猫であれば腹部の触診で便を蝕知しながら浣腸などの処置が可能ですが、

今回の症例では不可能でした。

当院でも何度か浣腸にトライしましたが全く改善が認められなかったため、全身麻酔下で開腹して

結腸を切開して直接的に便を除去しました。


便秘の原因のひとつに肥満があげられますが、肥満だと便秘になるだけでなくその後の治療も大変になるということを思い知りました。

体重管理には気を付けましょう。

獣医師;永松

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2021年8月10日 火曜日

CT検査vol.37

今回は、当院のスタッフの犬の症例を紹介していきたいと思います。



調子が悪いとのことで、検査をしてみると、超音波検査にて、なんと腎臓に腫瘍がみつかってしまいました。

細胞診検査も行いましたが、悪性の腫瘍であることは確かなようでした。





発見時には、腎不全にはなっておらず、左の腎臓のみの発生だったので、腎臓摘出の手術を視野に入れてCT検査も行いました。

ちなみに3年前にも健康診断で、CT検査を行なっていましたが、この時は正常な腎臓でした。







しかし、このCT検査によって脳の方にも腫瘍が見つかってしまいました。







赤い丸で囲っている部分が腫瘍です。



脳の腫瘍は、頭の中心の脳室のあたりに発生しており、外科的な処置は厳しく、また麻酔自体もかなりのリスクを負うことになると思われたためスタッフと相談して、抗がん剤の内科治療を行うことになりました。



そして、抗がん剤治療を始めて1ヶ月ほど経過した後、改めて超音波検査で腎臓の腫瘍を確認したところ、まだ少し怪しい部分は残っているものの、ほぼ消失しているではありませんか!\(^ω^)/





これには、正直驚きました。



しかも、抗がん剤の副作用も出ておらず、状態は良好のようです!

(良好すぎてまた体重が増え始めているようですが笑)



これで、脳腫瘍の方も抗がん剤が効いて小さくなってくれればと期待しています。



脳腫瘍に関しては、確認が超音波検査などで簡単にできないので、また経過をみて改めてCT検査で確認ができたら後日紹介いたします。





獣医師 木場

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