動物病院コラム

2021年3月28日 日曜日

CT検査vol.34

今回は、食欲がやや低下した猫の症例を紹介いたします。

この症例は、CT検査を行う前の検査では、これといって食欲の低下につながるような異常は見つかりませんでした。

なので、CT検査で全身を撮影してみると一部異常がみつかりました。



CT画像の赤い線で囲ってる部分で、咽頭部の一部腫脹が確認されました。

この時は、ただ腫れているだけなのか、腫瘍が発生して膨らんでいるのかわからなかったので、追加で内視鏡の検査は実施したのですが、咽頭部の膨らみ以外は、肉眼的異変は確認できませんでした。

隆起している部分の組織を採取して病理検査を行った結果は、炎症性の反応でした。

しかし、これだけでは腫瘍を否定できたわけではありません。

はっきりと検査するには、外科的に腫れている部分を切除する必要がありますが、病変部分の場所が場所なだけにそれなりのリスクがあります。

なので、病変部分が炎症性の病変と仮診断して、2週間程抗生剤による治療を行いました。

すると、食欲が戻ったとのことだったので、改めて病変をCT検査で確認したところ...




咽頭部の腫れは引いておりました!

今回の症例は、抗生剤が効いてくれたので、炎症性の病変として処理することができました。



獣医師  木場


投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2021年3月 7日 日曜日

注射のお話

今回は病気の話ではありません。

自分たちが行う診療行為の中で、動物たちに注射を行うことは多々あります。

熱を下げるお薬や吐き気を抑えるお薬、抗生物質などの治療を目的とした内容のものから、

伝染病や狂犬病のワクチン、フィラリア感染予防薬などの予防目的のものもあります。

考えてみると、ほぼ毎日と言っていいほど注射をしています。



ワクチン接種等でまれに注射後の痛みを気にしてる子がいます。

これは注射部位の近隣の神経に影響を与えているからと思われます。

赤くなったり、腫れあがったりしなければ半日から一日で治まります。

こちらとしても極力痛みが少ない方法を考えながら注射してますが、なかなか難しいです。



なぜ、こんな話をしているかというと、実は最近になって、自分に注射を打つ機会に恵まれ、その感覚が体感することができました。

針先が皮膚を通過するとき、薬液を注入するとき、針先がわずかにブレたとき、

これらの工程の中でどういった感覚になるのか少し理解できた気がします。

簡単にいうと、「こういう時に痛みが出てくるんだ」ということです。

この経験を、今後の治療に役立てれればと思っています。



ちなみに、私が注射している薬剤はこちらです。









決して怪しい注射ではありませんので、ご安心を。



獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2021年2月25日 木曜日

ICU(集中治療室)増台のお知らせ

ICU(集中治療室)の台数が、従来の12床から、18床に増床しました。



画像は半分の9床分のICUの画像です。
(スタンプでプライバシー保護を施しております)

左下のチワワはうちのモモちゃんです(笑)

I増床したICUは、より多くの患者様の治癒に貢献してくれるでしょう。

また、従来の檻のような入院舎に比べ、透明の扉、室内灯もあり、

異常にも早く気付くことができます。

より多くの動物たちが回復してくれますように。。。

獣医師 河野



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2021年2月 7日 日曜日

猫の便秘

今回は猫の便秘についてお話します。


便秘とは排便回数の減少、宿便の停滞、しぶりをともなう排便困難など、体外に排出すべき糞便を排出することが難しくなっている状態です。
具体的に何日でないと便秘なのかという定義はありませんが、上記の症状が指標になってきます。

便が体外に排出できない状況が続く=老廃物が体内にとどまっているということなのでどんどん具合が悪くなってしまうため早急な対応が必要です。

便秘の原因は多岐にわたります。
体内の構造異常(交通事故による骨盤狭窄、腫瘍などによる通過障害など)や機能異常(消化器の蠕動運動の低下、水分吸収の増加など)が挙げられます。

便秘の治療は摘便と再発防止の2つがメインとなります。

摘便とは排出できなくなった便を体外に出してあげることです。
ぬるま湯等を浣腸して便を柔らかくした上で肛門に指や採便棒などを入れて便を摘出します。
状況によっては鎮静剤などを併用する場合もあります。

再発防止には繊維質の多いフードおよび下剤を用いることが多いです。
症例によってはフードのみで管理できることもあれば、フードとお薬を併用しても症状を繰り返してしまう場合もあります。

ここで実際の症例をご紹介いたします。



上記は便秘の猫のレントゲン画像です。赤線で囲んだところに宿便の停滞が認められております。この猫は5日間排便がなく、食欲不振、嘔吐などの症状も認められておりました。

そこで浣腸の処置を実施したところ、、、



宿便がスッキリ無くなってくれました。

残念ながらこの猫は繊維質の多いフードを食べてくれないので便を柔らかくする下剤を処方して経過を見てもらっています。

少しでも便の出が悪いと感じた場合は早めにご相談いただければと思います。

獣医師;永松

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2021年1月24日 日曜日

CT検査vol.33

今回は、猫の先天的な奇形の症例を紹介したいと思います。

まずは、CT画像を見ていきましょう。


画像は、骨盤あたりの骨の3D画像ですが、どこが異常かわかりますか?
次に正常な猫の骨盤あたりを見て、比べてみましょう。



比べてみると、股関節が左右ともに脱臼しかけているのがわかりますね。


通常であれば、寛骨臼といわれる骨盤の窪みに、後肢の付け根である大腿骨頭といわれる骨がキレイにハマっていなければならないのですが、症例の猫はやや外れかかっています。
完全に外れて脱臼まではしていなかったので、特に歩き方とかも異常ではありませんでした。

今回の症例は、避妊手術時のレントゲン検査にて、やや股関節の形が異常だったため、CT検査を実施しました。
まだ、年齢的には6ヶ月齢ほどでもあったので、おそらく生まれつきの奇形であると思われます。

歩行異常は、現時点ででてはいないようですが、今後脱臼してしまうリスクはあります。
股関節になるべく負担をかけないようにして脱臼のリスクを少しでも軽減するためにも、
体重増加には今後要注意ですね。


獣医師  木場

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