動物病院コラム

2019年2月26日 火曜日

CT検査vol.18

今回は猫のリンパ腫の症例をCTの画像を使って紹介いたします。

猫のリンパ腫の発生は、猫白血病ウィルスや猫免疫不全ウィルスの感染が関連あると言われています。

もちろんウィルスとは関係なく発生する場合もあります。

これらのウィルスが関連して発生するリンパ腫は、比較的若齢(平均3歳)で発生し、ウィルスとは無関係に発生するリンパ腫は中~高年齢(平均7歳)で発生する傾向があります。

今回紹介するリンパ腫の猫は、エイズも白血病のウィルスにも感染しておらず、年齢も7歳です。

また、症例の猫は、全く症状は出ていなかったのですが、健康診断にてリンパ腫の発見に至った症例でもあります。

そこでCT検査にも至ったわけですが、まずその画像を見て行きましょう。



どこに異常があるかわかりますか?



赤い丸で囲った3箇所が異常な部位です。

これらは全てリンパ節が腫れて大きくなっているのです。

一番大きくなっているもので2cmもあります。

これだけ大きくなって、嘔吐や下痢などの消化器症状が出ていなかったのが不思議なくらいです。

リンパ節は、普通は超音波やCTなどでも確認できない程ではありますが、周囲に炎症があったり、今回の様に腫瘍化してしまうと腫れて大きくなるので、検査で確認できるようになります。

リンパ腫の治療は抗がん剤になります。

抗がん剤の治療も単独で1種類のものを使用したり、複数の種類のものを使用したりと様々です。

症例の猫は、複数の抗がん剤を使用する方法を選択し、治療を開始しました。

すると、抗がん剤の反応が良く、1週間後には大きくなってたリンパ節も大分小さくなってきました。



この画像は超音波の画像ですが、中央の黒い部分がリンパ節でもともと1番大きくなっていたリンパ節です。

大きさを測ると半分の1cmまで小さくなっており、他の2箇所はほとんどわからない程でした。

今回は健康診断にて症状が出る前に発見できたので、治療の反応も良かったのかもしれません。

悪化してからでは手遅れになってしまうこともあります。

何か異変があればもちろんのこと、そうでなくても定期的な検査はしていきましょう。




獣医師 木場




投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2019年2月11日 月曜日

歯の異常

食事中に口を痛がって、食事が食べづらそうとの稟告で診察に来られたあるワンちゃん。
口を見てみると、上の顎にある前歯が正常とは違う方向に向いており、それが口腔粘膜に刺さるように当たっていました。
軽度の歯石が付着しており、口内炎も認められました。
この前歯は幼い時からあったそうですが、最近になって粘膜に当たっていることに気付いたそうです。



上向きの歯と唇の裏側に陥没した部分がわかるかと思います。
これが左右両側に発生していました。

この陥没部の痛みなのか、口内炎の痛みからかはわかりませんが、
後日、歯石除去と抜歯を行うことになりました。

手術時に撮ったレントゲン写真がこちらです



犬歯より前にある歯は切歯と呼ばれ、モノを捕まえたり、噛み切る役目になります。
全部で3対(6本)ありますが、一番外側の第3切歯の先端が他と違う方向に向いています。
これは歯が軸回転をしていて、先端が180度近く回転した状態でした。

わかりやすく説明すると下の2枚の写真の状態です。





上が正常、下が軸回転させたものです。
このように歯先が上に向かっていて、これが粘膜に当たっていたのです。
あまり見られる症例ではありませんが、歯並びに問題ある子は少なくありません。
歯磨きの時など、歯のチェックも行いましょう。


獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

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