動物病院コラム

2019年11月27日 水曜日

形成外科

形成外科とは、
皮膚の病変に対して行う切除、
それらの手術で失った組織は機能の再建、
などを意味します。

少し前に、マージン確保のための拡大切除(初回の手術で取り切れていないであろう悪性腫瘍組織を一回り大きく切除する)と、
それに伴い欠損した肉球に対する肉球再建術を実施しました。


手術前の写真で、
②の赤丸の範囲が、最低限切除したい範囲です。
切除を行い、大きな肉球の半分近くが無くなりました。

肉球は動物にとって靴と同じです。
靴がないと足の裏をケガしやすくなってしまいます。

なので、欠損した肉球を補うべく、
①の指の肉球を、欠損した②の部分まで移設する手術を行いました。



この段階ではまだ抜糸が完了していませんが、
経過は良好です。
現在でも再発はなく、歩行にも問題は出ていません。

腫瘍は様々な場所にできます。
腫瘍の種類、できた場所、大きさ、深さなど、
条件次第で治療内容も大きく変わります。
手術で根治が期待できるものの他、
手術+放射線療法、
手術+抗がん治療、
手術適応外につき抗がん治療がメインになるもの、
などです。

切除ができたとしても、
術後の生活の質が落ちないよう、
今回の症例のような再建術が必要になります。

これからも、様々な症例に出会うことでしょう。
あらゆる症例に対応できるよう、
日頃からスキルの鍛錬、維持に努めていかなければ、と存じます。

また、当院では外科、画像診断、皮膚科の各専門医による専門医診療も行なっております。
それ自体、僕らにとっても大変勉強になります。
最新の知識や技術へのアップデートも心がけて行きたいと思います。

獣医師;河野






投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2019年11月17日 日曜日

歯周病

皆さんのワンちゃん、猫ちゃんに顔を近づけた時、ひどい口臭がしたりしませんか?

またその他にも鼻水、くしゃみ、眼の下の腫れ、よだれがいっぱい流れる、
特に猫ちゃんでの食欲低下や体重減少の原因の一つとなっています。




人と違って犬や猫の歯の表面が虫歯になることはほぼありません。
歯の表面に食べカスなどが残り、そこに細菌が集まることで歯石を作ります。
しかし重要なのは歯の見えている表面ではなく歯根なのです。
歯の根っこに細菌が増殖したりして口臭や膿の原因を作ったり、
更に酷くなれば骨を溶かして穴を作り鼻水や眼の下の腫れなどの症状に繋がります。

ペットサロンなどで無麻酔歯石除去をみかけますが、
歯肉炎や歯周病の観点から言えば、やはり麻酔をかけて、
しっかりと歯周ポケットの歯石を除去しなければなりません。


じゃあどうしたらよいかというと、
歯科用レントゲンの設備を持った病院で歯石取りをお願いすることが重要となります。
私たちの病院では歯科用レントゲンの機材を完備し、
しっかりと歯根部のレントゲンを撮影し、抜歯するべきなのか、
それとも歯石除去やその他の処置でその歯を温存できるのか、
判断して処置を行うことができます。








ワンチャン、猫ちゃんを飼い始めたら若いうちからしっかりと歯ブラシで歯磨きをする、
食後は歯の汚れを拭き取るといった行為を心掛けてください。
ハミガミガムなどのみでは歯と歯茎の隙間の汚れをとるのは難しいです。
またそれでも歯石が溜まってしまうケースが多く、
年1回程度のスケーリングをお勧めしています。
定期的にスケーリングを行えば処置も軽くすみますし、
抜歯などがなければ日帰りです。

ワンチャン、猫ちゃんの寿命も今や20歳を越える子を見かけることも珍しくなくなりました。
歯周病は放っておくと腎臓、肝臓、心臓などへも悪影響を及ぼす可能性があります。
大切な御家族の健康を守るためにも一度歯石取りを検討されてはいかがでしょうか?


獣医師の卵 

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2019年11月 2日 土曜日

消化管内異物

消化管内異物

前回は胃内異物をご紹介しましたが、今回は胃以外の異物の症例をご紹介しようと思います。

まずはこちらのレントゲン画像です。



左側が頭で右側がお腹です。

青矢印が心臓、赤矢印が胃になります。

問題は緑矢印です。この辺りは肺や気管支があります。空気はレントゲンでは黒くうつりますので通常は黒くなりますが、大きな白い陰影が認められます。

そこで内視鏡の出番です。
実際に内視鏡を使用して食道を覗いてみました。

すると.........



飼い主様よりおやつの盗み食いの後より具合が悪くなったと聞いておりましたので、この時は胃に押し込んで事なきを得ました。



食道の異物があった部分はかなり炎症がおきていました。

こういった事が原因で異物が無くなったあとも食道炎や食道狭窄などが続発することがあるので注意が必要です。


次の症例です。



一見すると特に何も無いようにみえますが、矢印の部分に閉塞像が認められます。

そこで、特殊な器具を用いて撮影したレントゲン画像がこちらです。



他の部分と比べて明らかに太くなっている箇所が分かるかと思います。

実際に開腹して消化管から摘出したものがこちらです。



動物は本当に色々なものを丸呑みしてしまいます。

そういった物が届く範囲に無ければこういった事にはならないので予防に努めて頂ければ幸いです。


獣医師 永松

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

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