動物病院コラム

2017年12月18日 月曜日

CT検査vol.7

vol.5では、CT画像の3Dにおけるいくつかのモードを紹介しました。
今回は、別のモードで内視鏡モードでの画像をご紹介させていただきます。

この内視鏡モードは、撮影したCT画像を使って
動物の身体の中に内視鏡を入れてるように画像を見ることができます。



下の写真が、椎間腔内を内視鏡モードでみた時の画像です。
上の写真の緑の三角の部分は、内視鏡モードで現在3Dで写し出している部位を示します。
この緑のマークを動かすことによって、内視鏡を動かしてるように画像を見ることができます。

この写真の症例は椎間板ヘルニアの症例で、
内視鏡モードで見ると、下の画像で赤丸で囲っている部分で椎間板が突出しているのが確認できます。
今回の画像ははっきりとした突出部分がこのモードで確認できていますが、
基本的には椎間板ヘルニアは、MRI画像の方が正確に見ることができます。

また今回は、椎間腔を内視鏡モードで見ているものを紹介しましたが、
他にも気管や気管支もある程度みることができます。

私はまだ内視鏡モードでは、椎間板ヘルニアの確認程度くらいでしかまだ使用していませんが、
他の症例での内視鏡モードの使用例も随時紹介していきたいと思います。


獣医師 木場

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2017年12月 8日 金曜日

CT検査vol.6

今回は、vol.4で紹介した無麻酔でのCT検査に引き続き、
ポジショナーという固定具(※)を使用した無麻酔下でのCT撮影を紹介したいと思います。



まずこれは、土台となる固定具の上に、固定具と動物の間に隙間が出来ないようにするための、タオルを敷いた状態です。
黒い部分はマジックテープとなっており、ここに動物に直接装着した固定具をくっつける仕様となっております。



次に、これは動物の四肢に固定具を装着するためのマジックテープを、四肢にそれぞれ巻いた状態の写真です。



これは動物の四肢に固定具を装着して、四肢それぞれに巻いていたマジックテープを固定具にくっけた状態です。
ここでしっかりとと固定しておかないと、動物が動いた時に固定具から抜けてしまいます。

四肢の固定具の装着ができたら、今度は動物をこのまま四肢を伸ばした状態で、先ほどの土台に乗せて固定します。




これは動物を土台に乗せた後に、頭部を動かさせないように、さらに固定具を使用して固定した状態です。





そして最後に、動物と固定具の間に隙間が出来ないように、さらにタオルを敷き詰めて完成です。


これで、動物が動こうとしてもしっかりと固定されているので、CTの撮影ができます。

まだこの保定具を装着してから撮影するまでに時間はかかりますが、装着の練習をしてもっと短時間で撮影できるようにしたいと思います。


獣医師 木場

※ ペットコミュニケーションズ株式会社製
  Ahmics-VMD CTポジショナー「谷浦式CTポジショナー」
  https://www.ahmics.com/service/ct-positioner/

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2017年12月 2日 土曜日

嘔吐と下痢

日々の診療の中で、よく遭遇する症状に嘔吐と下痢があります。
今回、消化器症状を呈したある症例を紹介します。

その症例は、前日の夜に1度だけ嘔吐をしてから元気がなくなったワンちゃんです。
翌日も食欲がなく、腹痛を訴えてました。
全身検査を行いましたが、CRP(炎症の指標)の上昇以外は大きな以上は見られませんでした。
しかし、数日後血便が見られ、低蛋白血症を発症しました。
取り急ぎ内視鏡検査を行い、胃及び小腸の粘膜を詳しく検査しました。
その結果、『炎症性腸疾患(IBD)』という病気がわかりました。

この病気は胃や腸の粘膜での炎症病変を特徴とする慢性の胃腸疾患群と定義されています。
確定診断に至るには様々な検査を行うのですが、その中の超音波検査にてこのような変化が確認されました





上の写真は正常な小腸の写真です。
まっすぐ横向きに小腸が映しだされています。
下の写真がコルゲートサインと呼ばれる異常像が小腸で見られました。
これは"十二指腸の波打像"ともよばれ、腸壁の筋肉の痙攣を示します。

この像は、IBDに限らず、腸炎、腫瘍、膵炎、腹膜炎などでも認められます。
今回は低蛋白血症の発現とともに、この異常像が確認されたので内視鏡検査を実施いたしました。

診断後、この症例のワンちゃんは食事内容の改善、内服薬の服用で改善に向かっております。

日々、超音波機器も進歩しており、以前よりも診断につながる検査が可能になっていると思います。
私達もその進歩に追いつくように努力が必要だと感じる毎日です。

獣医師;高木

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