動物病院コラム

2018年10月24日 水曜日

CT検査 vol.15

今回はCT検査での脳疾患の症例を紹介したいと思います。



脳の画像診断に関しては、CT検査に比べ、より組織の状態がわかるMRI検査の方が優れていますが、CT検査でもある程度診ることができます。



今回の症例は犬の髄膜腫です。

髄膜腫は一般的には高齢の犬猫に発生し、最も発生頻度の高い脳腫瘍です。

また、犬の場合は隣接する正常脳へ腫瘍細胞の浸潤をともなう悪性所見を示すものが多いのですが、それに対して猫の場合は良性の場合がほとんどで、正常脳との境界が明瞭なことが多いです。







上のCT画像は造影剤を流して撮影した画像ですが、どこに腫瘍があるかわかりますか?





赤い丸で囲った脳の部分に造影剤で白く染まって撮影されている部分が腫瘍です。

頭の前の方に位置する前頭葉と呼ばれる部位に腫瘍が発生しています。

ちょうどオデコのあたりの脳ですね。





違う断面のCT画像で見て診ると、前頭葉の中央を境界にして右側に発生しています。





この症例は犬ですが、腫瘍と正常な脳との境界がはっきりしており、他の脳への浸潤はありませんでした。



脳の手術はかなりのリスクを伴う難しい手術ですが、この症例の子は外科手術適応でした。

頭蓋内の手術に関しては、専門医院を紹介させて頂きます。

手術は無事成功し、現在では元気に生活しています。



最終的な診断として、腫瘍がどこまで発生しているかを詳しく診るにはMRI検査が必要となってきますが、CT検査でも、このように脳の疾患はある程度発見することができます。



MRI検査だと撮影に時間がかかるのでどうしても麻酔処置が必要になってきますが、当院の80列CT検査では撮影が早いので、麻酔処置なしで撮影することができます。

なので、てんかん発作やふらつきなど、脳疾患を疑うような症状があれば、まずはCT検査を行ってみるのもいいと思います。

病気の早期発見をしていきましょう。





獣医師 木場


投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2018年10月 6日 土曜日

乾性角結膜炎(KCS)

拭いても拭いても止まららない眼脂(目ヤニ)になったことはありませんか?



眼脂が主症状となる病気の代表として、乾性角結膜炎という病気があります。

一般には「ドライアイ」と呼ばれ、涙液の水分量が減ることによって起こります。

眼球の表面は涙(涙液層)で覆われていますが、この涙は三層構造になっており、外側から油層、水層、ムチン層(粘液層)に分かれます。この三層のどこかに異常があれば涙液の水分量は欠乏します。それにより角膜の上皮への酸素や栄養が不足したり、表面の乾燥から傷つき、炎症反応が起こります。また角膜炎だけでなく、角膜潰瘍、角膜穿孔、重症例では視覚障害も起こります。



原因は様々で、感染症(ジステンパーウィルス)、特発性(自己免疫性)、神経性(涙液の分泌や眼瞼の動き)、薬剤誘発性、内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)、外的要因など多岐にわたります。この中で一番多い原因となるものは自己免疫性と言われています。



検査は涙液量を測るシルマーテスト(STT)、角膜も損傷状況を確認するフルオレセイン染色、眼瞼や角膜、結膜の異常がないか等を行います。

特にシルマーテストは初期のKCSの検出にも役立つ有用な検査です。



これがシルマーテストの試験紙です



このように眼と瞼の間にはさんで、一分間の涙の量を測ります。



潤って見えても、測定してみたら正常値を下回っていて、この病気の発見に繋がった例もあります。

簡単に行える検査ですので、気になる方は気軽にご相談ください。



獣医師 高木

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