動物病院コラム

2019年8月24日 土曜日

胃内異物

今回は誤食による胃内異物の症例をご紹介します。

まずはこちらの写真をご覧下さい。



胃(画像右側のまだら模様の部分)に内容物があるのは分かりますが、この画像だけでは異常があるとは判断できません。

しかしオーナー様より1時間前に紐や草などを飲み込んだとの主訴があったため、お薬を使い催吐処置を実施しました。

すると......



大量の草と紐がでてきました。



次の症例の写真です。




明らかに胃の中に金属性の異物が確認できます。

この症例では異物が大きく硬いため、催吐や内視鏡による摘出では胃や食道を傷つける恐れがあったので、開腹して胃切開をせざるを得ませんでした。

摘出された物がこちらです。



布の部分はレントゲンには写っていなかったことがわかります。

このように、胃内異物は検査で簡単に判断できる場合もあればオーナー様のお話から分かることもあります。

また、異物の大きさや形状、硬さなどによって治療法(摘出法)が変わります。

摂取した異物の性状によっては様子を見る場合もあります。


1番大切なことは異物摂取を予防することです。そのために日頃から注意して頂ければと思います。

獣医師 永松

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2019年8月13日 火曜日

CT検査vol.21

今回は心臓腫瘍の症例をレントゲン画像とエコー画像と一緒に紹介したいと思います。



上のレントゲン画像では、肺の部分がかなり真っ白にうつっており、大量の胸水が溜まっているのが確認され、この時点では心臓が悪くて胸水がたまってしまったのかな?と考えていました。

胸水がたまってかなり苦しそうだったので、胸に針を刺して胸水を抜く処置をしました。



上の画像は胸水を抜いた後の胸部のレントゲン画像です。
たまってた胸水を抜いたので、1枚目の画像で白くうつっていた部分が消えて黒く抜けているのがわかりますね。
肺の中は空気で満たされているので、通常レントゲンにおいて肺の部分は黒く抜けてみえます。

胸にたまっている胸水がなくなったので、心臓の形もわかりやすく見えるようになりました。

次に心臓のエコー検査をしました。
すると、心臓に心室拡大や逆流はみられませんでしたが、4~5cmほどの塊状物が確認されました。



上の画像が心臓のエコー検査で発見された塊状物の画像です。

正直、エコー検査では心臓に何かある程度しかわからなかったので、正確に心臓のどの位置に存在しているか?腫瘍なのかどうかを知るためにCT検査を実施しました。





CT画像でみると、心基部(心臓の頭側)の所に造影剤が強調されている部分があり、明らかに腫瘍性のものを疑う物が確認されました。
(赤い丸で囲った部分が腫瘍です。)

エコーでは塊状物が心臓の内側にあるのか、外側にあるのかもわかりづらかったのですが、CT画像で確認すると外側に発生しているのが確認できました。

ここで2枚目の胸水を抜いた後のレントゲン画像とCT画像を比べてみて下さい。
レントゲン画像だけではまさか心臓に腫瘍ができているなんて思いもよりませんでした。

ひとつの検査だけでは病気を見逃してしまう可能性があるのだと改めて実感しました。

今後とも病気を見逃してしまうことのないようにしっかりとした検査を心掛けようと思います。


獣医師 木場

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2019年8月 2日 金曜日

難治性角膜潰瘍

角膜潰瘍とは角膜上皮が損傷し、実質まで到達した状態を指します。難治性角膜潰瘍とは一定期間の治療を行っても改善が見られない潰瘍を表します。
この病気の同義語として、無痛性角膜潰瘍、ボクサー潰瘍、再発性上皮びらん、慢性角膜上皮欠損、SCCEDsなどがあります。

通常、角膜上皮が損傷するとすぐに損傷部位の周囲の上皮細胞が反応して、損傷部(欠損部)に覆いかぶさるようにして修復していきます。しかし修復された角膜上皮がその下にある実質にくっつかずに浮いた状態になることがあります。これでは角膜潰瘍が治癒した状態ではないので、痛みも収まらず、涙や目やにも改善しません。

フローレス検査やスリットランプ検査で、損傷部や角膜表面を精査して診断していきますが、診察までの経緯やお家での状況(いつから症状があるのか、日によって状況が違うのか等)も診断には重要な要因になります。

この病気の治療は点眼だけで治すことは困難で、浮いた角膜上皮を剥がすデブライトメントや、表面に敢えて傷をつけて上皮の接着を促進する点状または格子状切開を組み合わせて治療していきます。



右下あたりに白く円型になったところが角膜上皮が浮いているところです



染色検査を行ったところ、緑色の染まっているところ全体が上皮が損傷している部分です。この症例は点眼治療と外科治療の組み合わせで改善しました。
しかし、この病気は『再発しやすい』という厄介な特徴を持っていますので、十分にオーナーにインフォームドして経過観察しています。

なかなか治らない眼の痛みが見られたら、この病気の可能性もありますので、
様子を見ずに診察を受けましょう。

獣医師 高木

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