動物病院コラム

2020年9月19日 土曜日

眼の痛み

みなさんは、動物たちの眼の痛みにはどうやって気づきますか?





多くは、
「眼をしょぼしょぼさせている」
「ウィンクしたみたいに閉じている」
というのが多いかと思います。
この症状は羞明(しゅうめい)症状といって、代表的な症状です。





軽度の場合は、充血や流涙、羞明、瞬膜の露出などですが、
重度の場合は元気や食欲がなくなり、完全に閉眼したり、
触ろうとすると咬みつく行為を見せたりもします。





眼や眼周囲の痛覚は、角膜・虹彩・毛様体、眼の周囲組織に分布しています。
どの部分が障害を受けても、一様に痛みの症状を訴えます。
ヒトなら眼の表面が痛いのか、眼の奥が痛いのか、聞くことは出来ますが、
動物たちはそれは不可能です。
ですから検査とオーナーからの稟告で
どこに異常があるかを推測していかなければなりません。





痛みを伴う眼の疾患としては、
角膜の異常(角膜炎、角膜損傷、角膜上皮びらん、角膜潰瘍、角膜穿孔)、
水晶体脱臼、急性緑内障、ブドウ膜炎などがあります。
最近、個人的によく診察しているのが、角膜損傷、角膜上皮びらんという疾患です。





角膜の表面に小さくても傷が入ると、痛みが発生し、
羞明や流涙、充血といった症状を見せます。
損傷の程度が軽く、適切な治療を受ければ、
2~3日もすると羞明症状は改善されることが多いです。
もし、一週間経っても痛みの改善がなければ、
上皮びらんや潰瘍へと移行しているのではと疑います。





この症例は1週間前に角膜損傷と診断し治療した症例です。
同居犬と遊んでて、爪により僅かな線状の傷がついていました。
治療開始後、数日間は眼も開いて、充血も改善してましたが、
6日目くらいにまた眼を閉じるようになり再来院しました。











傷があったところは白いもやのように変化していました。
最初の検査では傷を染色する検査は陰性でした。





しかし角膜上皮びらんを疑い、点眼麻酔後に角膜表面を滅菌綿棒で擦ってみると、














ご覧のように薄皮が剥けたように角膜上皮が剥がれました。
この部分をきれいに除去して、上皮びらんに対応した治療に変更したところ、
数週間で治癒いたしました。
現在のところ再発は認められていません。





軽度の角膜の傷であれば、
1週間も痛みが持続することはあまりないので、
羞明などの眼の異常を訴える症状が見られるときは、
あまり様子を見ないで診察を受けられてください。





獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2020年9月12日 土曜日

歯の破折について

人間であれ、動物であれ、歯は消耗品です。
乳歯であれば生え変わりますが、
永久歯は抜けてしまったらもう生えてきません。

犬でも猫でも、歯のトラブルは人間と同様です。
一番多いのは歯周病でしょう。
人間のような歯磨きが毎日できるわけではありません。
私が診てる患者さんで、人用の電動歯ブラシを用いて磨いていらっしゃる方もおられますが、
これができるのは非常に稀なケースだと思います。
人間でさえ、毎日磨いてても歯周病になる人はなります。

さて、今回はタイトルにもあるように、歯の破折についてです。
歯はどんな時に折れるか?

猫ちゃんであれば、外でよくケンカをするオス猫なんかは、
犬歯が折れている、欠けているのをしばしば見かけます。

では、ワンちゃんでは??
私が一番多いと感じるのは、硬いおもちゃ、硬いおやつ、例えばヒヅメです。
人間でも、噛むことはストレス解消につながると言われています。
ワンちゃんでも同様でしょう。
ただ、個体個体の歯の強さ、噛み癖によっては、歯も割れる場合もあるのです。

先端が少しかけた、少しずつ磨耗していく分にはほぼ問題にはなりませんが、
歯の根っこに向かって縦にわれてしまった場合は、、、
残念ながら歯を温存することは非常に困難な事が多いです。
ほとんどの場合が抜歯の適応になります。

若くて元気な子がガリガリ噛んで歯が割れて、
抜歯の適応になった場合、、、
根っこ自体は健康なので、抜歯にはかなりの時間を要します。
一番割れやすいのは、噛む時に一番使われる、一番大きくて根っこが3本もある歯、第4前臼歯なんです。
歯周病もなく、歯槽骨もしっかりしているので、
縫合して閉鎖するためには、抜歯後の骨の切削が必要です。



画像は、手術後の写真です。
若いこなので、他の歯はすごく綺麗です。

硬いおもちゃやおやつがダメとは言いませんが、
その子の性格や噛み癖によっては、今回のような事態になる可能性があります。
そのことを踏まえて、よく観察して、
状況により与える物を選択してあげましょう。

余談ですが、上述した電動歯ブラシですが、
その影響で私自身も購入しました(笑)
某国内メーカーのW音波のやつ。
めっちゃ良いです。手磨きには戻れません(笑)。

獣医師;河野




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2020年9月 1日 火曜日

尿道結石

今回は泌尿器に大きなトラブルを生じてしまったワンちゃんをご紹介します。

6歳くらいのフレンチブルドッグでしたが、頻尿、血尿が主訴で来院されました。他院で抗生剤を処方され血尿は改善していたようですが排尿障害が重度で診察室でも排尿態勢を度々とっていましたが僅かにしか尿が出ていませんでした。

当院でレントゲン検査を実施したところ尿道に大量の結石が詰まっていることが判明しました。



上記のレントゲンは膀胱や後肢辺りを横から撮影したものですが



赤線で囲んでいる範囲内にゴロゴロとした結石が確認できます。

これが原因で重度の排尿障害になっておりましたので、まずはカテーテルを用いて生理食塩水を勢いよく入れることによって膀胱内に押し戻そうと試みました。

しかし残念ながらいくつかの結石が全く戻ってくれなかったので外科手術を選択しました。

術式としては陰嚢部造廔というもので陰茎先端まで続いている尿道を途中で切開して陰嚢部分に開口させるというものです。

なかなか言葉で説明するのも難しいので術後の画像をご覧ください。



このような形で排尿するための道を別の部分に造ってあげるものです。

これによりしっかりと尿を出すことが出来るようになりました。

残念ながら手術にはメリットもあればデメリットもあり、今回の手術では排尿がしっかりできるというメリットがありますが、尿路感染を起こしやすくなるというデメリットもあります。

手術を行う際はこのメリットとデメリットを比較し、手術を実施することで本人の体調や生活の質が改善するかどうかを見極めることが非常に重要になります。

今回のような手術は比較的レアなものではありますが、その他の手術に関してもメリットとデメリットを比較して動物のQOL(生活の質)が改善できるように努めていこうと思います。

獣医師;永松

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