動物病院コラム

2016年1月31日 日曜日

チョコレート中毒

バレンタインデーが近づいてきました。
いつもこの時期になると、チョコレートを食べてしまったとの電話を受けます。
というわけで、今回はチョコレート中毒についてを書こうと思います。


1.チョコレートを食べるとどうなってしまうのか
軽い症状では嘔吐下痢、落ち着きがなくなります。重い症状ではけいれんです。
チョコレートには"メチルキサンチン"と称される、カフェイン、テオブロミンという成分が多く含まれています。
これはヒトではすぐに処理され排出されますが、犬・猫は処理がヘタなため、長時間体内に残ります。
その結果、神経・筋肉を中心に影響し、主に興奮・けいれん・不整脈といった変化が体に現れます。
症状としては、1~2時間で落ち着きがなくなる、2~4時間で嘔吐下痢がみられる、等です。
体の中で濃度が半分になるのに1日近くかかるので、2,3日は注意が必要です。
油分が多いため、膵炎のリスクにもつながると言われています。


2.どのくらい食べたら症状が出るのか
お電話での質問が多い内容です。
大前提として個体差が大きいため、すぐに「安心してください」とは言えません。
目安は摂取したメチルキサンチンの含有量と本人の体重です。


上記の3倍量が重度の症状が出る目安です。
小型犬で板チョコ1枚(50g)は結構な量です。すぐにお電話ください。
猫は食べ方が犬とは違うため、チョコレート中毒の話をあまり聞きません。
ホワイトチョコレートはミルクチョコレートの1/40しかメチルキサンチンが入っていないため安全であることが多いです。(注意が必要であることに変わりはありませんが)


3.どういった治療をするのか
多くのケースは吐かせる、胃腸に残るメチルキサンチンを吸着させるために吸着剤を飲ませる、排泄を促すための点滴をする、の3点です。
けいれんが起きていればけいれんを止めるお薬を投与します。
お話を聞くと、食べる現場を目撃した、帰ってきたらチョコを食べてしまった形跡があった、この2パターンが多いです。
食べてから4時間以内は吐かせる対象、それ以降は吸着材に頼るしかありません。


特効薬のようなものはないので、チョコレートを食べさせないのが一番です。
この時期は手作りのチョコが多く、特に生チョコのコーティングに使うココアパウダーは犬にとって猛毒です。
手、口の届かない場所で保管していただくよう、よろしくお願いします。

獣医師 阿達

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2016年1月14日 木曜日

ペットの口臭、気になりませんか?

ワンちゃん・ネコちゃんも、人間同様にお口のトラブルに見舞われます。

通常、歯の見える部分(歯冠)は白いエナメル質に覆われています。
その部分に薄い黄色の汚れや茶色の塊がついていませんか?
それは歯石が付着しはじめているのかも知れません。

歯石は食事の食べカスが変化したものですが、その中には無数の細菌が繁殖しています。

歯石があると、その周囲の歯肉が刺激を受けて「歯肉炎」となります。
歯肉は炎症により腫れたり出血したりして「歯肉ポケット」が作られます。

歯肉ポケットが形成されると、そこから歯の根っこ(歯根)に細菌やその毒素が侵入して、
歯の周りの骨(歯槽骨)を破壊していきます。
この状態を「歯周炎」と言います。

下の写真をご覧ください。

真ん中にある大きな歯の右側の歯根は、歯周炎により周りの骨が破壊されています(赤矢印)。
この歯は触ってもグラグラしておらず、ご飯も普通に食べれていました。
このように、見えないところで進行しているのが歯周炎なのです。

口臭が気になる、歯石が付き始めている、いつのまにか歯が抜けていた等、
お口にトラブルを感じたら、気軽にご来院、ご相談ください。


獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2016年1月 1日 金曜日

誤食、誤飲について

あけましておめでとうございます。

さて、今回は動物達の誤食・誤飲について書こうと思います。ワンちゃん、ネコちゃんは、時に驚くようなものを飲み込みます。
 
    今まで経験した多数の症例の中で、特にインパクトの強いものは、
・カミソリの替刃(ミニチュアダックス、発見時には大腸、無事排泄)
・ゴルフボール(ゴールデンレトリバー、偶然みつかる、内視鏡で摘出)
・500円玉(ボストンテリア、腸閉塞を続発、手術にて摘出)
などなど。

さて、下のレントゲン画像(ネコちゃん)には何が見えますか?

答えは、釣り針(画面中央)とオモリ(画面右下)です。

飼い主さんの釣り道具から盗み食いをしたと推測されます。レントゲンには写りませんが、針とオモリは糸でつながっています。

この子は、手術で針、オモリ、糸を摘出、無事に退院いたしました。

誤食・誤飲といっても、すぐに症状が出るとは限りません。実際、別の目的で撮影したレントゲンに偶然異物が写っていた、なんてことにしばしば遭遇します。

誤食歴のある動物は飼育環境を見直す必要があるのはもちろん、レントゲン検査をはじめ、やはり定期的な健康診断が重要だと言えます。
健康診断については、獣医師までお気軽にご相談ください。

獣医師 河野

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