動物病院コラム

2021年12月22日 水曜日

ブログ引越しのお知らせ

本ブログを、以下のオフィシャルサイトのブログと統一いたしましたので、お知らせいたします。

http://www.kashii-pc.co.jp/blog/blog01/



投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2021年12月 1日 水曜日

唾液腺嚢腫(唾液腺嚢胞)

今回は唾液腺嚢腫という疾患についてご紹介いたします。

犬の唾液は、耳下腺、下顎腺、舌下腺、頬骨腺などの大唾液腺と、軟口蓋、唇、舌、頬に散在している小唾液腺より分泌されておりますが、唾液腺嚢胞は大唾液腺導管の閉塞や破裂により、唾液が皮下組織に漏出し貯留して発症します。

下顎腺で発生することが多く、この場合は頚部腹側の腫脹のみでその他の症状は出ないことが多いですが、舌下腺で発生した場合は、舌の下や奥が腫れるため、閉口障害や嚥下障害、呼吸困難につながるケースもございます。

実際の症例のCT画像がこちらです。



赤線で囲った部分が唾液腺嚢腫です。

一見すると皮膚にしこりができており、腫瘍ではないかと心配される方もいらっしゃいますが、唾液が貯留しているだけで身体に大きな害が出ることは少ないです。

根治のためには外科手術により唾液腺ごと切除する必要がありますが、定期的に針を刺して中の唾液を抜いて経過をみている症例も存在します。



上の画像は実際に抜去した液体を顕微鏡で観察したものになります。
唾液腺細胞のみで悪性腫瘍を疑う細胞ではございません。


この疾患ですが、リードなどによる外傷なども原因と考えられております。

顔や首などが腫れてきてしまった場合はこういった病気の可能性もあるため、腫瘍性のものであるかを判断するために検査をお勧めいたします。

永松

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2021年11月17日 水曜日

CT検査vol.38

今回も、前回紹介したスタッフの犬の症例の治療経過を報告していきます。

前回、6月に腎臓と脳の腫瘍が発覚してしまったのですが、8月の超音波検査において、腎臓腫瘍の方は抗がん剤の効果があり、ほぼ消失しているほどの改善がみられておりました。

もちろん、元気、食欲もあり一般状態も良好です。

この時に、脳腫瘍の方も抗がん剤の効果があれば良いなと思っておりましたが、確認にはどうしても再度CT検査が必要だったため、日を改めて実施する予定を組んでおりました。

今回は、その確認のCT検査を行なっておりますので、その画像を紹介させていただきます。



これは、腎臓を6月と10月のもので比較してる画像ですが、やはりあきらかに消失しているようにみられます。

次に脳の方の画像です。



これだけだと、腫瘍が分かりにくいので、次の画像で腫瘍を赤丸で囲って示します。



変化をお分かりいただけたでしょうか?

脳腫瘍の方は、消失とまではいかないですが、確実に縮小しているようです。

これには正直、自分も驚いております。



今のところ、症状もでておらず、元気に走り回っているようで、先日、TV番組のアサデス。のウチのコいちばんに出ていたようです。笑


今後とも、治療経過をしっかりとみていこうと思います。


獣医師 木場

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2021年10月30日 土曜日

猫のウィルス性結膜炎

猫の結膜炎は感染性と非感染性がありますが、今回はよく遭遇するウィルス感染による結膜炎の症例を紹介いたします。

症例は12歳のシニア猫さんで4年前にFVR(猫ウィルス性鼻気管炎)での治療歴がありました。
くしゃみや鼻水などの鼻炎症状が主で、結膜炎症状はありませんでした。
当初はインターフェロンという抗ウィルス薬の点眼薬やL-リジンという抗ウィルス内服薬で治療を行いました。
しかし完治は得られず、半年後に左眼の結膜炎で来院されました。
そこでも同様の治療を行いましたが、症状が少し残ってしまった状態で経過観察となりました

それからは流涙は残っているが、充血などはなく安定した状態だったのですが、3年後に右眼の重度の結膜炎で来院されました。

右眼の上下の瞼は赤く腫れて、瞬膜も炎症により露出していました。
おかげで眼の全貌が確認しづらかったのですが、本来透明である角膜部分も白く濁っていました。
過去と同様の治療から開始したのですが、今回は反応が乏しく、まったく改善が見られませんでした。
目ヤニも多く見られましたが、培養検査では細菌は見られませんでした。
状況的にもウィルス性の可能性が高いので、それまでに未使用の抗ウィルス薬を選択していきました。
中には比較的高額なお薬もありましたが、オーナーは意欲的にそれらも希望されました。
点眼薬も1日6回以上、飲み薬も1日2回と集中的に治療を行いました。
オーナーの頑張りのおかげで、3ヶ月近く要しましたが、やっとエリザベスカラーを外して様子を見れるレベルまで回復しました。
上の写真が治療開始時、下の写真が治療終了時になります。
よくぞここまで回復してくれた!という気持ちです。





現在は症状の再燃がないか、様子をみている状況です。このまま安定してくれることを願っています。

今回の症例の様に、慢性化したウィルス性の感染症が突然悪化するようなことがあるのかもしれません。常々、動物たちの様子は観察をしていきましょう。

獣医師;高木

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2021年10月20日 水曜日

口腔内腫瘍

今回は口腔内に発生した腫瘍について、お話ししたいと思います。

患者は高齢のダックスで、主訴は昨日からご飯を食べないとのこと。
通常、問診をしていきながら鼻先から尻尾まである程度視診、触診を行っていくのですが、最初のお口の視診で、お口の奥に大きな腫瘤が見えました。
その上で問診をすすめると、いびきのような呼吸音と、数ヶ月前から舌をペロペロする仕草があったことが判明しました。

よく観察すると、その腫瘤は軟口蓋(お口の奥の上側の柔らかいところ)から発生していました。
これであれば、腫瘤の増大と、臨床経過(下をペロペロする→いびき→食欲廃絶)の内容が合致します。

この腫瘤は除去しない限り自ら食べることは難しそうです。
高齢ではあったものの、オーナー様と協議の末、手術する事になりました。

画像は仰向けにしてお口を開いた状態です。

画像の中央に、舌に接する楕円形の腫瘤が見られます。

この後、この腫瘤を切除し、縫合を行いました。


切除した主流は病理検査に提出し、「悪性メラノーマ」との診断結果でした。

口唇やお口の中の出来物は悪性のことも多く、場合によっては歯や顎の骨を一部除去して行う場合もあります。
軟口蓋は比較的柔らかい組織で縫合は容易ですが、範囲が狭いので大きく切り取ることができません。
悪性の場合は正常組織を含め大きく切除しないと再発することが多いのですが、
今回もギリギリでの切除になり、再発の可能性は極めて高いと予測されます。

今後は抗がん剤治療を進めていくことになりますが、
高齢でもあるので、QOL(生活の質)を落とすような厳しい治療内容ではなく、
しかしある程度メラノーマも抑えられるような治療内容を行っていければと思います。

お口の中の腫瘤は、見えにくい分、やはり発見が遅れがちです。
腫瘤が小さければ小さいほど、正常組織を含め大きく取り切ることが可能になります。
早期発見が大事なのですが、それには、初期の症状を見落とさないことが重要です。
今回の例で言えば、数ヶ月前から舌をペロペロしていた、これが初期症状になります。

小さな症状でも、何かいつもと違うと感じたら、早めに病院に相談して頂ければと存じます。

獣医師;河野

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

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