動物病院コラム
2018年8月26日 日曜日
検査の大切さ
先日、びっこを主訴に来院されたワンちゃんのお話です。
そのワンちゃんは、朝から急に右の後肢をびっこしながらベッドから起きてきたそうです。
数時間様子を見ていましたが、あまり変化がなかったので、キャリーバッグに入れて安静の状態で病院に来院されました。
しかし、病院に来て、いざ診察室でキャリーバッグから出ると、先程までのびっこはどこへやら、
軽快な足取りで診察室内を歩き回っていました。
オーナー様も「家ではあんなに痛そうにびっこしてたのに・・・」と不可思議な表情に。
触診を行ってみても、ワンちゃんは痛がるどころか気にする様子もありません。
何度も診察室内を歩いてもらいましたが、一度もびっこをすることなく、ジャンプまで見せてくれました。
一応、確認のためにレントゲンを撮ることになりました。
脱臼や骨折の心配はなさそうだなと思っていたところ、写真の上の方に白く四角いものが見えます。改めて、その部分を中心に撮影してみると
胃の中に異物を発見しました。映り方から推測すると、金属が疑われます。
オーナー様に確認したところ、心当たりはないとのことでしが、
過去に誤食の経験があるとのことでした。
内視鏡をして摘出してみると
このような金属のプレートが出てきました。
再度、オーナー様に見せても、いつどこで口にしたのか見当がつかないとのことでした。
ちなみに食欲低下や嘔吐などの消化器症状は一切ありませんでした
今回、跛行で検査をした時に偶然に発見できました。大事になる前に発見できて良かったです。
健康そうに見えてても、予想外に病気は隠れているものです。
検査の重要性を再確認できた一例でした。
獣医師 高木
そのワンちゃんは、朝から急に右の後肢をびっこしながらベッドから起きてきたそうです。
数時間様子を見ていましたが、あまり変化がなかったので、キャリーバッグに入れて安静の状態で病院に来院されました。
しかし、病院に来て、いざ診察室でキャリーバッグから出ると、先程までのびっこはどこへやら、
軽快な足取りで診察室内を歩き回っていました。
オーナー様も「家ではあんなに痛そうにびっこしてたのに・・・」と不可思議な表情に。
触診を行ってみても、ワンちゃんは痛がるどころか気にする様子もありません。
何度も診察室内を歩いてもらいましたが、一度もびっこをすることなく、ジャンプまで見せてくれました。
一応、確認のためにレントゲンを撮ることになりました。
脱臼や骨折の心配はなさそうだなと思っていたところ、写真の上の方に白く四角いものが見えます。改めて、その部分を中心に撮影してみると
胃の中に異物を発見しました。映り方から推測すると、金属が疑われます。
オーナー様に確認したところ、心当たりはないとのことでしが、
過去に誤食の経験があるとのことでした。
内視鏡をして摘出してみると
このような金属のプレートが出てきました。
再度、オーナー様に見せても、いつどこで口にしたのか見当がつかないとのことでした。
ちなみに食欲低下や嘔吐などの消化器症状は一切ありませんでした
今回、跛行で検査をした時に偶然に発見できました。大事になる前に発見できて良かったです。
健康そうに見えてても、予想外に病気は隠れているものです。
検査の重要性を再確認できた一例でした。
獣医師 高木
投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL
2018年8月17日 金曜日
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアと言えば、腰の病気と思われがちですですが、
椎間板が存在する場所(頚椎〜尾椎)であれば、
どこでも発症する可能性があります。
とは言え、当院で遭遇する椎間板ヘルニアで一番多いのは、
胸椎〜腰椎のヘルニア、いわゆる腰のヘルニアが多いです。
犬種で言えば、ダックス、プードル、チワワあたりでしょうか。
さて、その椎間板ヘルニアの診断ですが、
通常のレントゲンでは診断はできません。
椎間板も脊髄神経もレントゲンには写らないからです。
診断可能な検査は、MRIもしくは、レントゲンorCT&脊髄造影、となります。
当院においては、80列CTにて脊髄造影を行い、
迅速に診断、手術に移行できます。
背骨を、横から見てます。
黒矢印の部分で、白い線(造影剤)が途切れているのがわかりますか?
この部分がヘルニアをおこしている部分です。
椎間板から突出した物質が神経に密に接し、圧迫しているため、
造影剤が入る隙間がないので、こういう見え方になります。
次に、背骨を正面から見た写真です。
これは正常な部分の脊髄です。
黒矢印に囲まれた、綺麗な白の輪郭(造影剤)が見えます。
これが異常な部分の脊髄です。
先ほどの写真と異なり、右下が持ちあがって見えます。
ここが、ヘルニアをおこしている部分です。
このように、80列CT&造影剤により、
ヘルニアの場所、左右どちら寄りかを判断し、
迅速に手術に移行できます。
ただし、脊髄の損傷の度合いまではCTではわかりません。
神経疾患としてより詳細に見たい場合は、MRIとなります。
緊急手術になる事もしばしばある椎間板ヘルニアですが、
当院のCTも選択肢の一つとして考えて頂ければ幸いです。
獣医師;河野
椎間板が存在する場所(頚椎〜尾椎)であれば、
どこでも発症する可能性があります。
とは言え、当院で遭遇する椎間板ヘルニアで一番多いのは、
胸椎〜腰椎のヘルニア、いわゆる腰のヘルニアが多いです。
犬種で言えば、ダックス、プードル、チワワあたりでしょうか。
さて、その椎間板ヘルニアの診断ですが、
通常のレントゲンでは診断はできません。
椎間板も脊髄神経もレントゲンには写らないからです。
診断可能な検査は、MRIもしくは、レントゲンorCT&脊髄造影、となります。
当院においては、80列CTにて脊髄造影を行い、
迅速に診断、手術に移行できます。
背骨を、横から見てます。
黒矢印の部分で、白い線(造影剤)が途切れているのがわかりますか?
この部分がヘルニアをおこしている部分です。
椎間板から突出した物質が神経に密に接し、圧迫しているため、
造影剤が入る隙間がないので、こういう見え方になります。
次に、背骨を正面から見た写真です。
これは正常な部分の脊髄です。
黒矢印に囲まれた、綺麗な白の輪郭(造影剤)が見えます。
これが異常な部分の脊髄です。
先ほどの写真と異なり、右下が持ちあがって見えます。
ここが、ヘルニアをおこしている部分です。
このように、80列CT&造影剤により、
ヘルニアの場所、左右どちら寄りかを判断し、
迅速に手術に移行できます。
ただし、脊髄の損傷の度合いまではCTではわかりません。
神経疾患としてより詳細に見たい場合は、MRIとなります。
緊急手術になる事もしばしばある椎間板ヘルニアですが、
当院のCTも選択肢の一つとして考えて頂ければ幸いです。
獣医師;河野
投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL
2018年8月 5日 日曜日
CT検査vol.13
今回は鼠径ヘルニアの症例を紹介したいと思います。
まず、鼠径ヘルニアとは太ももの付け根あたり(鼠径部)の鼠径管(腹筋の間にある縦に走る隙間)から、大網、脂肪、子宮、小腸、大腸、膀胱、脾臓などの組織や臓器が逸脱してしまっている状態をいいます。
外傷を受けて鼠径ヘルニアができてしまうこともありますが、今回紹介する症例は、もともと鼠径管が広く短い雌犬で発生したものです。
この症例の主訴は、足の付け根あたりに急に出来物ができたとのことでした。
触診や超音波検査でも、ある程度は鼠径ヘルニアであることはわかりましたが、CT検査によってすぐ診断することができました。
上の写真はCT画像の平面断面像です。
この写真から、どこの場所でどこから臓器または組織が逸脱しているかわかりますか?
青い線が途中で途切れている部分が鼠径管と言われる隙間です。
ここから赤い線でなぞった何らかの組織または臓器が片側だけ逸脱しているのがわかります。
CT検査後の手術にて、逸脱したものをみると腹腔内の脂肪でした。
今回は急に出て来たものがヘルニアではありましたが、腫瘍の場合もあります。
飼われている子達の異変に気づいたらすぐ病院に連れて行きましょう。
獣医師;木場
まず、鼠径ヘルニアとは太ももの付け根あたり(鼠径部)の鼠径管(腹筋の間にある縦に走る隙間)から、大網、脂肪、子宮、小腸、大腸、膀胱、脾臓などの組織や臓器が逸脱してしまっている状態をいいます。
外傷を受けて鼠径ヘルニアができてしまうこともありますが、今回紹介する症例は、もともと鼠径管が広く短い雌犬で発生したものです。
この症例の主訴は、足の付け根あたりに急に出来物ができたとのことでした。
触診や超音波検査でも、ある程度は鼠径ヘルニアであることはわかりましたが、CT検査によってすぐ診断することができました。
上の写真はCT画像の平面断面像です。
この写真から、どこの場所でどこから臓器または組織が逸脱しているかわかりますか?
青い線が途中で途切れている部分が鼠径管と言われる隙間です。
ここから赤い線でなぞった何らかの組織または臓器が片側だけ逸脱しているのがわかります。
CT検査後の手術にて、逸脱したものをみると腹腔内の脂肪でした。
今回は急に出て来たものがヘルニアではありましたが、腫瘍の場合もあります。
飼われている子達の異変に気づいたらすぐ病院に連れて行きましょう。
獣医師;木場
投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL