動物病院コラム
2019年12月30日 月曜日
CT検査vol.23
今回は、少しわかりにくい肺の異常をCT画像を使って紹介したいと思います。
今回の症例の患者は、もともと皮膚に悪性の腫瘍が発生していた犬ですが、術後の定期検査で転移病巣がないかどうかでCT検査を行っています。
まずは、撮影したCT画像をみてみましょう。
どこに異常があるかわかりますか?
この画像は、肺のどこかに2箇所異常があるのですが、正直この画像だけでは、僕ら獣医師でも判断することができません。
なので、次の切断面を少しずらした画像と比べてみてみましょう。
どうでしょうか?
これでもなかなか気付きにくいと思います。
2枚の画像とも肺の中に白くポツポツと見える点や線が見えると思いますが、病変はこの中に隠れています。
これらの白くポツポツ見える部分は、正常な肺であれば血管がこのように見えますが、血管かそうでないかを見分ける必要があります。
血管は身体中を巡っているので連続していますが、腫瘍や結節などの異常箇所は孤立しています。
なので、CT画像では何枚もの色々な断面の画像を見比べて連続しているかしていないかを見て判断します。
そこで、もう一度2枚の画像を見比べてみると、1枚目では見えていた白い点が2枚目では消えている部分が2箇所あります。
赤い丸で囲った中にある白い点が病変です。
画像だけでは、この2箇所が腫瘍性の病変かそうでないかはわかりません。
ですが、悪性腫瘍の既往歴があることから転移病巣の可能性が高いです。
病変が大きいとすぐ気づきますが、今回の症例のように小さな病変だとなかなか診断が難しい場合もあります。
なので、このような小さな病変も見落とさず、いち早く気づけるように日々精進していきたいと思います。
獣医師 木場
今回の症例の患者は、もともと皮膚に悪性の腫瘍が発生していた犬ですが、術後の定期検査で転移病巣がないかどうかでCT検査を行っています。
まずは、撮影したCT画像をみてみましょう。
どこに異常があるかわかりますか?
この画像は、肺のどこかに2箇所異常があるのですが、正直この画像だけでは、僕ら獣医師でも判断することができません。
なので、次の切断面を少しずらした画像と比べてみてみましょう。
どうでしょうか?
これでもなかなか気付きにくいと思います。
2枚の画像とも肺の中に白くポツポツと見える点や線が見えると思いますが、病変はこの中に隠れています。
これらの白くポツポツ見える部分は、正常な肺であれば血管がこのように見えますが、血管かそうでないかを見分ける必要があります。
血管は身体中を巡っているので連続していますが、腫瘍や結節などの異常箇所は孤立しています。
なので、CT画像では何枚もの色々な断面の画像を見比べて連続しているかしていないかを見て判断します。
そこで、もう一度2枚の画像を見比べてみると、1枚目では見えていた白い点が2枚目では消えている部分が2箇所あります。
赤い丸で囲った中にある白い点が病変です。
画像だけでは、この2箇所が腫瘍性の病変かそうでないかはわかりません。
ですが、悪性腫瘍の既往歴があることから転移病巣の可能性が高いです。
病変が大きいとすぐ気づきますが、今回の症例のように小さな病変だとなかなか診断が難しい場合もあります。
なので、このような小さな病変も見落とさず、いち早く気づけるように日々精進していきたいと思います。
獣医師 木場
投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL
2019年12月15日 日曜日
猫の角膜分離症 vol.2
猫の角膜分離症(角膜黒色壊死症)とは、眼球表面の角膜に黒色の斑状の壊死組織が発生する病気です。
前回、この病気の原因や治療に関してお話しましたが、今回は治療した症例の経過をお話しようと思います。
初診時に診断を行ってから、抗ウィルス治療と角膜保護の点眼薬を行いました。
こちらは治療開始1ヶ月目の写真です。
黒色斑の周りに血管が取り囲むように増生されています。
これは眼が新しい組織を作ろうとする反応と思われます。
こちらは2ヶ月目の写真です。
新生血管は数が減り、黒色斑の周囲に白濁した部分(浮腫)が見られています。
この頃には流涙や目ヤニなどの臨床症状は無くなっていました。
この写真は4ヶ月目になります。
また血管が新しく増生され、角膜に肉芽組織が発生しました。
黒色斑も心なしか縮小しているようにも見えます。
こちらが6ヶ月目の写真です。
血管の数が減り、肉芽組織のサイズが大きく、黒色斑よりも手前に盛り上がっているように見えます。
最後の写真が治療開始から7ヶ月目の写真です。
黒色の壊死組織は綺麗に脱落し、その場所にきれいな角膜が再生されていました。
抗ウィルス治療と角膜保護の点眼剤での内科治療で奏効した貴重な症例でした。
しかし、目の一部にまだ茶色の色素に染まった部分があるので、今後も経過観察を継続していく予定です。
皆様もたまに明るい所でペットたちの眼を観察してあげてくださいね。
獣医師 高木
前回、この病気の原因や治療に関してお話しましたが、今回は治療した症例の経過をお話しようと思います。
初診時に診断を行ってから、抗ウィルス治療と角膜保護の点眼薬を行いました。
こちらは治療開始1ヶ月目の写真です。
黒色斑の周りに血管が取り囲むように増生されています。
これは眼が新しい組織を作ろうとする反応と思われます。
こちらは2ヶ月目の写真です。
新生血管は数が減り、黒色斑の周囲に白濁した部分(浮腫)が見られています。
この頃には流涙や目ヤニなどの臨床症状は無くなっていました。
この写真は4ヶ月目になります。
また血管が新しく増生され、角膜に肉芽組織が発生しました。
黒色斑も心なしか縮小しているようにも見えます。
こちらが6ヶ月目の写真です。
血管の数が減り、肉芽組織のサイズが大きく、黒色斑よりも手前に盛り上がっているように見えます。
最後の写真が治療開始から7ヶ月目の写真です。
黒色の壊死組織は綺麗に脱落し、その場所にきれいな角膜が再生されていました。
抗ウィルス治療と角膜保護の点眼剤での内科治療で奏効した貴重な症例でした。
しかし、目の一部にまだ茶色の色素に染まった部分があるので、今後も経過観察を継続していく予定です。
皆様もたまに明るい所でペットたちの眼を観察してあげてくださいね。
獣医師 高木
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