動物病院コラム

2016年7月31日 日曜日

変形性関節症について

変形性関節症とは、関節が変形を起こすことを言います。

ワンちゃんやネコちゃんも人間と同じように加齢とともに変形性関節症が生じ、
膝や腰の痛みが出てくる事があります。

下の写真をご覧ください。

これは、ワンちゃんの下半身を横からレントゲン撮影したものです。
黄色と赤色の↑の部分は、腰椎(腰の骨)にあたります。
黄色と赤色の腰椎の形の違い、わかりますか?

黄色の部分は変形性関節症を起こしている場所、
赤色の部分は比較的正常な腰椎です。
(黄色の部分以外でも、変形性関節症を起こしている場所は数カ所あります)

レントゲンでここまではっきりと変化が認められる頃には、
痛みもかなり生じているはずです。

最近年を取って動きが鈍くなってきた、ではなく、
それは痛みによるものかも知れません。

強い痛みで動きが制限されると筋肉が落ちて行き、
それがさらに関節への負担を高めます。
人間同様、痛みや炎症をコントロールしてあげることはとても大事な事なのです。

10歳を越えるワンちゃんやネコちゃんのオーナー様は、
一度レントゲンを撮ってみてはいかがでしょうか。

鎮痛剤や鎮痛作用の強いサプリメントも取り揃えております。
お心あたりのある方はぜひ一度ご相談ください。

獣医師 河野




投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2016年7月21日 木曜日

猫の尿道結石

今回は尿道に結石がつまってしまった猫の症例を紹介したいと思います。

この猫ちゃんは、おしっこが出ない、ぐったりしているという主訴で来院しました。
レントゲンを撮ってみると、尿道に結石がつまっているのが発見されました。



写真をみると大きめの結石が3個ほど尿道にありますね。
おしっこが出ない原因は、これがつまってしまったからです。

尿は腎臓から作られて、尿管を通って膀胱にたまり、膀胱から尿道を通って、出口である外尿道口に排出されます。
腎臓、尿管は2個ずつあるのに対して尿道は1本しかないので、尿道がつまってしまうとおしっこが出なくなり、必ず症状が出てきます。
オス猫はメス猫に比べて尿道が狭く、また肥満の猫も尿道が狭くなってるので、尿道に結石がたまりやすくなっています。
なので、太り過ぎのオス猫は要注意です。

血液検査もしてみると、腎臓の数値が上がっており、尿道に結石がつまってしまったことによる急性腎不全もみられました。
結石が尿道につまってしまうと、おしっこを体の外へ出すことができなくなり、この猫ちゃんのように急性の腎不全になって、身体がぐったりしたり、食欲不振、下痢、嘔吐などがみられます。
このまま放置してしまうと非常に危険な状態になってしまいます。

なので、まずはおしっこをちゃんと出すことができるように、カテーテルという細い管を使って尿道につまった結石を膀胱に押し込む処置を行いました。



写真は処置後に撮ったレントゲンですが、最初の写真で尿道にあった結石が膀胱まで移動しています。
今回は緊急の処置で一旦、結石を膀胱に戻していますが、また結石が尿道につまってしまう可能性があります。
尿道に詰まるのを防ぐには、膀胱を切開して中の結石を取り除かなければなりません。

ペットの尿路結石症はよく見られる病気の1つです。
治せない病気ではありませんが、体質によってできやすい子もいるため、何度も再発を繰り返すことがあります。
常に水を飲みやすくトイレに行きやすい環境を整え、適切な食事を獣医師にご相談ください。
また、普段からペットのおしっこの色やにおい、回数、出方などに注意し、おかしいなと思ったら早めに動物病院へ連れて行きましょう。

獣医師 木場

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2016年7月 1日 金曜日

犬の膀胱移行上皮癌

膀胱移行上皮癌は犬の場合、膀胱に発生する腫瘍の約50〜70%を占め、最も遭遇する機会の多い悪性腫瘍です。


中年以降のワンちゃんで抗生物質の治療をしているのに改善が乏しい膀胱炎(血尿)の症例では、必ず鑑別リストに入れる病気です


検査としては超音波検査で病巣の発生部位や浸潤度を確認し、同時に尿管や腎臓およびリンパ節に異常がないかも確認します。





こちらは血尿を主訴に来院した症例の膀胱の超音波画像です。

真ん中の黒い部分が尿になりますので、その上側の腫れている部分(矢印)が異常なところです。

これは膀胱の下側(お腹側)の粘膜が肥厚している状態です。

しかしながら粘膜が腫れているからすぐに腫瘍という訳ではありません。

炎症でも粘膜が腫れることがありますので更なる鑑別検査が必要になります。





これは膀胱鏡を使って、肉眼的に膀胱内を観察した画像です。粒粒した隆起(矢印)が異常部分です。

今回は鉗子で組織を採取して病理検査を行いました。

病理検査の結果は膀胱移行上皮癌でした。

この症例は血尿の異常が発見されて、病理診断が行われるまでたった一週間でした。



ただの血尿と思っていたら、こんな重大な病気が隠れていることもありますので、

不安に感じたらいつでもご相談ください。


獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

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