動物病院コラム

2019年6月 4日 火曜日

CT検査vol.20

今回は、鼻水が止まらない猫の症例を紹介いたします。

まず、鼻水の原因としては色々あります。
一般的に猫で鼻水の原因として良く目にするのが、猫のヘルペスウイルスによる猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)、いわゆる猫風邪によるものです。

また、ウイルスの他にも細菌や真菌(カビ)の感染だったり、鼻腔内の腫瘍、歯根膿瘍からの鼻への感染が原因だったりすることもあります。

今回の症例の猫も鼻水の経過も数ヶ月前からと経過も長く、ウイルスや細菌の治療はしているものの、全く症状はおさまらずCT検査を希望されて来院されました。








これらの画像は猫の頭の部分をそれぞれ、正面からの断面と側面からの断面画像です。
正面からの断面画像をみると、明らかに顔の右半分と左半分に違いがあるのがわかります。
向かって右半分の黒く抜けてない方が、異常がみられる部分です。



ちなみに3枚目の画像は、側面からの断面画像で2枚目の画像の反対側の断面です。
こちら側は正常な画像です。

これらの画像で、明らかに右側の鼻腔内全体的は蓄膿しているようにみえます。
そしてこれらをよく見てみると、





4、5枚目の画像で赤い丸で囲ったところに白く写し出されている部分があります。

正確にこの部分が何なのかは、この部分の組織を採材して病理検査をしてみないと診断できません。

残念ながら、この症例の猫はそこまで検査に至っていません。
ただ一見、腫瘍のようにも見えますが、この猫が1歳半で若齢の猫だということを考えると腫瘍の可能性は低く、もしかしたら異物の可能性も考えられます。

異物であれば、一体どんなものが鼻の中に入り込んだのか気になるところです。

獣医師 木場

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2019年5月19日 日曜日

犬の肢端せつ腫症

この病気は舐め壊しにより、破壊された毛包や脂腺などの組織が真皮内に流出してしまい、
それ対する免疫介在性の炎症反応が持続して起こる疾患と言われてます。
最初はアレルギーや寄生虫、感染などの慢性的な要因から波及することが多いそうです。

今回の症例はまだ若い日本テリアの男の子です。
1歳頃から手足を舐めて診察を受けていました。
アレルギーの疑いがあり、食事を変えたり、内服薬を開始したりで、
痒みも収まり、症状が安定していました。

ある日、足の裏から出血しているとの稟告で来院されました。
その傷は、肉球の一部に出来た、裂傷のようなものでした。
消毒し、外用薬で治療したところすぐに改善しました。
しかし、その1ヶ月後に今度は違う足に血腫が出来て気にして舐めているとのことで診察に来られました。
前回よりも痒みが酷かったため、内服薬も併用しながら治療しましたが、症状は落ち着かず、
他の足にも多発する結果になりました。



この写真の様に、自潰し、排膿する場所が四肢全体に見られるようになりました。
消毒を繰り返し、内服薬も用量や種類を検討しながら治療していましたが、症状はなかなか改善されませんでした。
当初の診断をもう一度見直しつつ、皮膚の専門医に相談したところ、的確なアドバイスを頂き、治療の見直しを行いました。すると2週間後にはこのように綺麗に回復しました。



この症例は、アレルギーから皮膚に慢性的なダメージを与え、肢端せつ症が発症したと考えられます。
専門医のアドバイスがなければここまで早急な回復は得られなかったかもしれません。

当院では毎月、皮膚専門医による診察を行っております。皮膚病で気になることがあればお気軽にご相談ください。

獣医師 高木

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2019年5月 8日 水曜日

スマホの高画質写真、臨床経過の保存。

僕のスマホはiPhone7です。
ガラケーのころに比べると、写真の画質が驚くほど綺麗です。
まずは写真をご覧ください。



虫です(笑)
これは、海の中道海浜公園で撮影した、
「フタイロカミキリモドキ」です。
接写レンズなど一切使わず、ピントを合わせて撮った後に拡大して切り取っただけです。
驚くべきは、肉眼で見るより詳細に観察できる事!

次は、、、

「ナナホシテントウ」です(笑)
これは、福岡空港近くに新しくできた大井中央公園での撮影。
これも普通に撮影、拡大して切り取っただけです。

スマホでこれだけの詳細な画像を簡単に撮れるので、
当院で採用している電子カルテと合わせて、高画質の画像で傷の経過などを比較していくことが可能です。


お口の腫瘍を切除縫合した画像です。


下顎骨先端に出来た腫瘍を下顎骨ごと切除した症例で、
抜糸を行なった時の画像です。

ひと昔までは、一眼レフで撮影、保存データの入ったSDカードからパソコンにコピー、そこからプリントアウトして紙カルテに貼り付ける、
といった、デジタルやらアナログやらよくわからない感じで、しかも画質もイマイチだったりでした。

今ではスマホで手術動画まで撮影を行います。
その手術動画は、SNSを用いてリアルタイムで院内で配信、保存が可能です。
時代はどんどん変わりますね。

最後に、お肉の写真を(笑)。
これもスマホで撮っただけです。
まるでプロが撮ったようでしょう(笑)


ちなみにこれは、七輪焼肉游來で撮影しました(笑)。

獣医師 河野

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2019年4月23日 火曜日

心原性肺水腫について

はじめまして!4月からこの病院で働かせて頂いている獣医師の卵の関と申します。大学卒業後働いていましたが、獣医師になる夢を叶えるために再度大学に入り直し、4月から、こちらの病院で働きはじめました!なので30代なのに新人です(汗 今後しっかり勉強させて良い獣医師になれるように頑張っていきます!



今回は肺水腫のワンちゃんたちのお話をさせて頂ければと思います。肺水腫とは簡単にいうと肺に水が溜まった状態で、肺が十分に膨らむことができず呼吸が苦しくなります。その多くは心原性肺水腫といって心臓の病気が悪化することで血液の循環が悪くなり発症します。

来院するわんちゃんたちの主訴は「呼吸が苦しそう」、「咳をしている」、「ゼェゼェいう」と言ったものが多く、肺水腫と診断されたわんちゃんのレントゲンはこちらの画像の様に撮影されることが多いです。



通常よりも心臓の周り、つまり肺部分が白く写り込んでいます。

また、超音波検査では心臓のエコーでの血流の乱流が確認できます。



通常の心臓のエコーは血流が一方向に流れているため、青色と赤色の模様がほとんど混ざり合うことがありません。しかしながら、僧帽弁逆流などの心疾患が起こっていると、心臓で血液の流れが悪くなります。そのため心臓のエコーでの血流がカラフルに画像化されます。この様な病態のため、心臓から肺に負荷がかかって水が貯まり、呼吸が苦しくなります。

 

治療法としてまず第1に行うことが多いのは利尿薬を投与することです。利尿薬はその名の通り尿の利用を促進させる、つまりオシッコをいっぱい出させるお薬です。この薬の効果で肺に溜まった水分を尿として体の外に排出させ、心臓の負担を軽くしていきます。肺に水がなくなることで肺胞から十分に酸素を供給することが可能となり、呼吸が楽になっていきます。


利尿薬と心臓のお薬を併用して肺水腫を治療したレントゲン画像がこちらです。



どうでしょうか?先ほどの画像と比べても肺部分の白さが抜けているのがお分かりになるかと思います。

 

心原性肺水腫の多くは致死的になりうることから、緊急に対応が必要な病気です。ワンちゃんの呼吸が苦しそうといった症状を気付かれた時には、是非病院にて検査を受けられてみるのも良いと思います。



また、そういった症状がなくても、ある程度高齢になると心臓が悪くなるワンちゃんが多いのです。ご家族の健康のために一度心臓の検査を受けてみるのをお勧めします。

獣医師の卵 関

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2019年4月 9日 火曜日

CT検査vol.19

今回は血栓症の症例を画像を使って紹介いたします。

血栓症は、血栓が形成される血管の場所や血流の程度によって、無症状のものから致死的なものまで、生じる症状や重症度は様々です。

血栓が形成される原因として、三つの要素があります。それは、血管壁の性状変化、血流の変化、血液成分の変化です。
これらは、全身性炎症性疾患、免疫介在性疾患、腫瘍、心疾患、蛋白漏出性疾患、代謝性疾患などに続発して起こると考えられています。

それでは、画像を見ていきましょう。

今回の症例の子はIBDという炎症性腸疾患を患ってた子で、蛋白漏出性疾患から続発して門脈内に血栓が生じてしまった症例です。



上の画像は腹部の超音波検査で確認された画像ですが、最初はこれがまさか血管内に生じた血栓とは分からず、リンパ節なのか腫瘍性のものなのかと試行錯誤していました。

なので、CT検査をしてみると下の画像のように血管内に造影剤が染まらない部分があるのが確認されました。



わかりやすくするため、染まらない部分を青色で塗りつぶしてみました。

この塗りつぶした青色の部分が、血栓です。
CT画像を見た後に、再度腹部の超音波をあてて見てみると超音波でも血栓がある事がわかってきました。
先ほどのエコー画像で見てみましょう。


青く塗りつぶしているのが血栓で、その周りの黒く抜けている部分が血管です。

このように超音波検査とCT検査の組み合わせで、その正体を突きとめることができました。

CT検査で全てがわかるわけではありません。

数ある検査の中の一つです。

他の血液検査やレントゲン検査など複数合わせ、総合的に診断を下していきます。

人間と違って動物は喋ることができないので、なかなか検査を絞ってすることは他の病気を見逃してしまうリスクがあり、難しいです。

もちろん検査をするにも飼い主様の協力も必要となってきますので、今後も丁寧な説明を心がけ、飼い主様と一緒に診療をすすめていきたいと思います。


獣医師  木場

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