動物病院コラム

2020年4月25日 土曜日

CT検査vol.27

今回は肝臓腫瘍の猫の症例を紹介いたします。

この症例の猫は超音波検査で肝臓に大きな腫瘍が見つかりました。

超音波検査では、ある程度の腫瘍の形や大きさは確認できたのですが、手術が適応かどうかを把握するためにCT検査を実施しました。



赤丸で囲った部分が肝臓腫瘍です。

次の画像は違う角度の画像です。



2枚の画像を見ると、どうやらこの腫瘍は肝臓から有茎状に発生しているのが確認できます。



大きな血管に腫瘍が入り込んでもいなさそうですし、上の画像の青線で沿った部分を切り落とせば上手く腫瘍を切除できそうです。

この症例では大丈夫そうですが、肝臓の広い範囲に腫瘍が発生してしまった場合で、腫瘍を肝臓ごと切除する際に肝臓の6割以上を切除してしまうと、術後に肝機能の異常が生じてしまう場合があります。

なので、術前のCT検査は手術方式や術後管理を把握する上で重要になってくると思います。


獣医師 木場

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2020年4月21日 火曜日

CT検査vol.26

今回は消化管が穿孔した猫の症例を紹介いたします。

まず、CT画像をみていきましょう。







この2枚の画像はどこが異常かわかりますか?

2枚とも消化管に穿孔が起こった時に発生する遊離ガスが確認できます。




赤丸で囲った黒い部分が遊離ガスです。

遊離ガスは、通常であれば腹腔内でみられない異常所見です。
腸管などの消化管に穴が空いてしまうと、消化管内のガスがお腹の中に漏れ出てしまいます。
なので、遊離ガスの発生は消化管穿孔の大きな指標となります。

症例の猫はCT検査によってこの状態が強く疑われました。

CT画像上では胃から出てすぐの腸管(十二指腸)部分が穿孔部位として怪しい部分ではありましたが、改めて超音波で確認してもハッキリとはわかりませんでした。

腸管が穿孔している場合、通常であれば開腹手術が必要ではあったのですが、この症例の猫は19歳とかなり高齢であったため、麻酔のリスクを考えて手術には至りませんでした。

しかし、なんとか内科治療にて回復した症例でもあります。

CT検査で全てがわかるわけではないのですが、治療や手術などの次の段階にむけて大きな手掛かりにはなると思います。



獣医師 木場

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2020年4月 5日 日曜日

誤食

今までいろいろな誤食の症例のお話をこのコラムでさせていただきましたが、
今回は他人ごとではないものを飲み込んだ症例をご紹介いたします。

その症例は数日前からの嘔吐を主訴に来院しました。
食欲や元気はあり、食後に吐くことが多かったのですが、
毎食後というわけではありませんでした。
食事の内容が変わったりしていないし、
オーナーが知る範囲で誤食をしていないとのことでした。



原因はいろいろと考えられるのですが、
まずはレントゲンの検査から行いました。
仰向けの写真がこちらです。




何か異物が映っていますがわかりますか? その部分に矢印を付けるとこうなります。





横向きで撮影したレントゲンの方が異物の全体像がわかりやすいかと思います。それがこちら。





摘出したものはこのお薬のシートでした。





人医療でも問題になることがあるお薬の包装シート(PHPシート)を誤って飲み込んでいました。
毎日服用している薬があり、事前に切り分けていたものを誤食してしまったのです。

このシートは縁が固く鋭利なため、
内視鏡では食道や胃を傷つける恐れがあるので、
外科手術で摘出いたしました。

この誤食が起きる要因の一つとして、
一錠ずつに切って置いておくことと言われてます。
今のシートは昔に比べて、割線を減らして、
分割しづらくしているそうです。

このような小さいものでも、
誤飲すると動物たちに大きな負担を強いるものになると
覚えていただければと思います。


獣医師 高木

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