動物病院コラム

2021年3月28日 日曜日

CT検査vol.35

今回は、猫の腎臓の先天的な奇形の症例を紹介させていただきます。

今回の症例は、特に臨床症状が出ていたわけではないですが、生後5〜6ヶ月齢の猫で去勢手術の際の検査にて、腎臓に嚢胞がみつかったので、CT検査を行いました。

嚢胞とは、液体などがたまった袋状の構造ですが、小さかったり、単体だと特に問題はありません。

今回の症例も、まだ嚢胞自体は小さく、数カ所しか発生していませんでしたが、嚢胞の発生状態を全体的に把握するのと、腎機能を評価するためにCT検査を実施しました。


赤い矢印で示している箇所が嚢胞部分です。

CT検査では、通常通り造影剤を排出されており、機能的には問題なさそうでした。

まだ、5〜6ヶ月齢の猫で腎嚢胞がみられたので、おそらく遺伝的に発生したものだと思われます。

現時点では問題なさそうでしたが、成長とともに嚢胞が大きくなったり、多数発生してしまうと腎不全を起こしてしまい症状が出てくることがあるので、まだ若齢の猫ですが定期的に検査していく必要はありそうです。



獣医師  木場

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2021年3月28日 日曜日

CT検査vol.34

今回は、食欲がやや低下した猫の症例を紹介いたします。

この症例は、CT検査を行う前の検査では、これといって食欲の低下につながるような異常は見つかりませんでした。

なので、CT検査で全身を撮影してみると一部異常がみつかりました。



CT画像の赤い線で囲ってる部分で、咽頭部の一部腫脹が確認されました。

この時は、ただ腫れているだけなのか、腫瘍が発生して膨らんでいるのかわからなかったので、追加で内視鏡の検査は実施したのですが、咽頭部の膨らみ以外は、肉眼的異変は確認できませんでした。

隆起している部分の組織を採取して病理検査を行った結果は、炎症性の反応でした。

しかし、これだけでは腫瘍を否定できたわけではありません。

はっきりと検査するには、外科的に腫れている部分を切除する必要がありますが、病変部分の場所が場所なだけにそれなりのリスクがあります。

なので、病変部分が炎症性の病変と仮診断して、2週間程抗生剤による治療を行いました。

すると、食欲が戻ったとのことだったので、改めて病変をCT検査で確認したところ...




咽頭部の腫れは引いておりました!

今回の症例は、抗生剤が効いてくれたので、炎症性の病変として処理することができました。



獣医師  木場


投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2021年3月 7日 日曜日

注射のお話

今回は病気の話ではありません。

自分たちが行う診療行為の中で、動物たちに注射を行うことは多々あります。

熱を下げるお薬や吐き気を抑えるお薬、抗生物質などの治療を目的とした内容のものから、

伝染病や狂犬病のワクチン、フィラリア感染予防薬などの予防目的のものもあります。

考えてみると、ほぼ毎日と言っていいほど注射をしています。



ワクチン接種等でまれに注射後の痛みを気にしてる子がいます。

これは注射部位の近隣の神経に影響を与えているからと思われます。

赤くなったり、腫れあがったりしなければ半日から一日で治まります。

こちらとしても極力痛みが少ない方法を考えながら注射してますが、なかなか難しいです。



なぜ、こんな話をしているかというと、実は最近になって、自分に注射を打つ機会に恵まれ、その感覚が体感することができました。

針先が皮膚を通過するとき、薬液を注入するとき、針先がわずかにブレたとき、

これらの工程の中でどういった感覚になるのか少し理解できた気がします。

簡単にいうと、「こういう時に痛みが出てくるんだ」ということです。

この経験を、今後の治療に役立てれればと思っています。



ちなみに、私が注射している薬剤はこちらです。









決して怪しい注射ではありませんので、ご安心を。



獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

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