動物病院コラム

2017年5月31日 水曜日

肛門腺の炎症

犬にも猫にも、肛門に付属する器官「肛門腺」が存在します。
肛門を正面から見て時計に見たてると、
4時の方向と8時の方向に1個ずつ存在します。
写真をご覧下さい。



前述でいう8時の方向(白矢印)の皮膚に穴があいてしまってます。
肛門線の炎症や破裂により、皮下で強い炎症を起こした結果です。

肛門腺のこう言った炎症はなかなか気づきにくく、
突然の排膿や出血で慌てて来院される事が多いです。

治療法には内科的なもの、外科的なものがあります。
内科的にお薬で治療する場合は、時間はかかりますが、
処置に全身麻酔等は必要ありません。
ただし、再発の可能性があります。
外科的に治療する場合は、全身麻酔が必要にはなりますが、
10日前後で完治します。

次の写真は手術後のものです。



左の開いていた穴を縫合しています。
同時に右側の肛門腺も摘出したので、
再発もありません。

それぞれメリット・デメリットがありますので、
どういった治療法でいくかは、年齢や全身状態、環境などにより、
話し合って決めていく必要があります。

肛門を床にこすりつける、気にしてなめている等が、いつもより頻度が増した時は、
この肛門腺のことを思い出して見てください。
そして、お気軽にご相談ください。

獣医師 河野

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2017年5月21日 日曜日

ダニに寄生されたら

最近、散歩に行ってダニに噛まれてしまったワンちゃんを連れてくる飼い主さんが増えてきました。

ダニと言っても目に見えない小さなダニから目に見えるほどの大きなダニまで色々な種類のダニがいます。

よくテレビで洗剤や掃除機などのCMで取り上げられるようなダニは目に見えない小さなダニが一般的ですね。

ワンちゃんに寄生するダニも毛穴に寄生するニキビダニ、皮膚の角質に寄生するヒゼンダニなどは目に見えないほどの小さなダニですが、散歩中に草むらなどで体表にくっついてしまうマダニは目に見えるほどの大きさです。

飼い主さんが「ダニに噛まれた!」といって連れてこられてワンちゃんに寄生しているのはこのマダニです。

マダニに寄生されると吸血による貧血や皮膚炎、またダニの唾液成分に対するアレルギーなどがおこってしまいます。

マダニは動物の体表に寄生して吸血しますがこの吸血の仕方も他の吸血する虫と比べて特徴的です。
ノミや蚊などは突起物をそのまま突き刺して吸血するのに対してマダニはなんと噛んで皮膚を切り裂いてから突起物を刺して吸血するのです。
しかもマダニの突起物には棘がついており、さらにマダニの唾液成分には接着剤のように固定される物質が含まれているので吸血の間は動物の皮膚にしっかりと付着してしまいます。

なので動物の皮膚に寄生したマダニを無理に取り除こうとしないでください。

ダニの胴体を不用意につまんで引っ張っると、顎の部分が動物の皮膚内に残ってしまい皮膚炎を発症してしまいます。

場合によっては皮膚の切開が必要になることもあるのでもし飼われている子がマダニに寄生されてしまったら無理に取り除こうとせずに病院に連れてきて下さい!

それからダニの予防も大切です。
飼われているワンちゃんのお散歩でよく草むらなどに行ってしまうような子は要注意です!

ダニがいそうな草むらなどを通る可能性が少しでもあるのなら前もってダニの駆除をワンちゃんにしてあげると良いと思います。

ノミ・ダニの駆除薬も色々あるのでどういったものを使ったらいいのかわからなければ是非病院にお越しいただいて相談してください。


獣医師 木場

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2017年5月 4日 木曜日

角膜の傷について

とあるワンちゃんが左眼を少し閉じ気味に来院されました。
オーナーに話を聞くと昨夜からソファーやカーペットに顔をしつこく擦りつけていたとのこと。
注意したら止めるにはやめるが、しばらくしたらまた擦っていたらしい。
一晩たって今朝になったら、ウィンクしてるみたいに片目をしょぼしょぼさせて、
真っ赤に充血して目ヤニも見られました。

診察の結果、眼の表面(角膜)に傷がついていました。
この傷によって眼の痛みが発生し、眼をしょぼしょぼさせる=羞明症状が見られました。
他の痛みの症状は、充血や流涙などがありますが、
強い痛みになると眼を閉じたり、触ろうとすると怒って噛み付いたりしますので注意が必要です。

角膜に付いた傷が深くなると角膜潰瘍になり、より強い痛みに変化します。
さらに細菌感染などで潰瘍が進行すると角膜に穴が空く、角膜穿孔という状態になり失明の危険性も出てきます。

眼に傷がつく原因は他のイヌ・ネコとの喧嘩、散歩中にゴミが入る、草木の中に入り込んで枝や葉で傷つけたりします。
また目の周りの皮膚のかゆみ、外耳炎、口腔のトラブルが原因のこともあります。
他には眼瞼の問題(内反症、外反症など)や異所性睫毛、乾性角結膜炎(KCS)などでも起こります。


診断はスリットランプによる角膜表面の傷の確認、フルオレセイン染色による角膜上皮の欠損の範囲を調べて判断します。





こちらはフルオレセイン染色を行ったときのものです。
わかりづらいですが黒目のところにうっすらと緑色に染まっている部分があります。
ここが角膜が損傷している部分になります。


治療は重症度によって変わりますが、
抗生剤や傷ついた角膜の再生を手助けするヒアルロン酸の点眼剤治療から開始することが多いです。
傷の深さや眼球の状態によっては緊急手術が必要な例もあります。

また治療中でも眼を気にしますので、悪化の防止のためにエリザベスカラーの装着は必要になります。


眼の異常は治療が遅れると重症化することもありますので、みなさまご注意ください。


獣医師 高木

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