動物病院コラム

2017年12月 2日 土曜日

嘔吐と下痢

日々の診療の中で、よく遭遇する症状に嘔吐と下痢があります。
今回、消化器症状を呈したある症例を紹介します。

その症例は、前日の夜に1度だけ嘔吐をしてから元気がなくなったワンちゃんです。
翌日も食欲がなく、腹痛を訴えてました。
全身検査を行いましたが、CRP(炎症の指標)の上昇以外は大きな以上は見られませんでした。
しかし、数日後血便が見られ、低蛋白血症を発症しました。
取り急ぎ内視鏡検査を行い、胃及び小腸の粘膜を詳しく検査しました。
その結果、『炎症性腸疾患(IBD)』という病気がわかりました。

この病気は胃や腸の粘膜での炎症病変を特徴とする慢性の胃腸疾患群と定義されています。
確定診断に至るには様々な検査を行うのですが、その中の超音波検査にてこのような変化が確認されました





上の写真は正常な小腸の写真です。
まっすぐ横向きに小腸が映しだされています。
下の写真がコルゲートサインと呼ばれる異常像が小腸で見られました。
これは"十二指腸の波打像"ともよばれ、腸壁の筋肉の痙攣を示します。

この像は、IBDに限らず、腸炎、腫瘍、膵炎、腹膜炎などでも認められます。
今回は低蛋白血症の発現とともに、この異常像が確認されたので内視鏡検査を実施いたしました。

診断後、この症例のワンちゃんは食事内容の改善、内服薬の服用で改善に向かっております。

日々、超音波機器も進歩しており、以前よりも診断につながる検査が可能になっていると思います。
私達もその進歩に追いつくように努力が必要だと感じる毎日です。

獣医師;高木

投稿者 香椎ペットクリニック