動物病院コラム

2016年10月24日 月曜日

僧帽弁閉鎖不全症

今回は犬の心臓の病気である僧帽弁閉鎖不全症についてお話ししたいと思います。

僧帽弁閉鎖不全症は加齢ともに発生が増加する心臓病です。
飼われているワンちゃんで咳をしたり、呼吸が荒くなったり、または散歩に行くとすぐに疲れたりしてあまり運動をしたがらなくなったりしていませんか?

僧帽弁閉鎖不全症になってしまうと、心臓自体の機能が落ちてしまうので運動しにくくなったり、血液の循環が悪くなっているので肺にまで影響が及び呼吸がおかしくなったりしてしまいます。

心臓は左心房、左心室、右心房、右心室の4つの部屋に分かれており、僧帽弁はこの左心房と左心室の間にある扉のようなものです。
正常な心臓では、肺から流れてくる血液が左心房に入ってきて、僧帽弁が開いて左心室に血液が送り込まれます。
左心室内が血液で満たされると、次に左心室は収縮と僧帽弁の閉鎖が同時に起こり、全身へ血液が送り出されます。

僧帽弁閉鎖不全症では、変性などによって弁が肥厚し、弁の開閉がうまくできずに血液の一部が逆流してしまう状態をいいます。
この血液の逆流が起こると、左心房に血液を送る肺静脈の圧が上がり、肺から心臓に流れる血液が停滞してしまいます。
この血液の停滞が続くと、心臓の機能が低下し、心不全状態になったり、肺静脈の圧が上がることによって肺胞内に血液の液体成分である血漿が漏れ出てしまい、それが貯まって肺水腫が引き起こされます。

僧帽弁閉鎖不全症の発生初期では、無症状で心内雑音が聴取されるだけなのですが、進行すると咳が出たり、疲れやすくなって運動したがらなくなってきたりして飼い主さんが気づくような症状が出てき始めます。

さらに病気が進行して肺水腫となり、肺が血液中に酸素を取り込む事ができず酸素が欠乏した状態になって呼吸困難となり、このままの状態で放置すると死亡する可能性も出てきます。

上記で説明したように、僧帽弁閉鎖不全症には症状が出ない症例から死に至る症例までありますが、症状がでてきた時点では病気がある程度進行している状態です。
僧帽弁閉鎖不全症の初期は、飼い主さんが気づくような症状がでないので、定期的な検診をしていなければなかなか発見が難しいと思います。
定期検診をしていれば、今回紹介した病気だけでなく他の病気も早期に発見することがあるかもしれません。
早期に病気を発見することができれば、その病気に対して早めの対処ができ、病気の悪化を食い止めることができるかもしれません。
なので、飼われているワンちゃんの健康を保つためにも定期的な検診をおすすめします。




獣医師 木場

投稿者 香椎ペットクリニック