動物病院コラム

2019年3月25日 月曜日

治らない涙

とあるワンちゃんのお話です。
そのワンちゃんは月に一度は来院されているのですが、
ある時に「一週間前くらいから涙が増えてきたんだよね」
とオーナーから言われました。
診察してみると、確かに左眼の方が内側に涙が溜まっていました。
少し目を閉じる時はあるが、一日中ずっとではないとのこと
白目の部分にわずかに充血が確認されました。
一応、角膜に傷がないかを確認するためにフルオレセイン染色を行いましたが、
染色液が染まるような傷は見当たりませんでした。

多少の目やにもあったので、結膜炎かと考え、抗生物質の点眼薬を処方し、経過観察としました。

2週間後に定期健診で来られた際に、
「前の診察以降も涙と羞明は変わらない」と言われました。
しかし、眼を擦ったりすることはないとのことでした。

どこかに見落としがあるのか?と思いながら、スリットランプ(細隙灯顕微鏡)で検眼してみると眼瞼におかしなものを見つけました。




わかりづらい写真で申し訳ないのですが、上の瞼の縁あたり(赤線で囲んでいる部分)に粘液のような塊がありました。
これは衣類の線維みたいなものが丸まったものでした。
生理食塩水で洗い流そうと思っても流れず、綿棒で擦って撮ることが出来ました。
それからは涙も目ヤニもピタッと治まったそうです。
おそらくこれが眼の表面に当たっていて、その刺激で涙や目ヤニがあったのでしょう。
眼瞼にかなりピッタリと付着していたので、簡単には取れなかったのでしょう。

角膜に傷が見られず、眼を気にする行動もなかったので、異物等はないだろうと判断していました。自分としては大変勉強になる症例でした。

獣医師 高木

投稿者 香椎ペットクリニック