動物病院コラム

2020年10月13日 火曜日

CT検査vol.31

今回紹介する症例は、水腎症の猫です。

腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱に溜まり排尿で外に出ていくのが正常ですが、
腎臓や尿管で閉塞が起こってしまい、腎臓に尿がたまってしまうことがあります。
これを水腎症といいます。

水腎症には先天的なものと後天的なものがあり、後天的なものは結石や腫瘍などが原因で発症します。

今回の症例のCT画像をみていきましょう。


赤い線で囲ってあるものが右の腎臓で、青い線で囲ってあるものが左の腎臓です。

右の腎臓は正常で、CT検査で造影剤を使用して撮影すると通常このようにみえますが、左の腎臓は水腎症になったおり、液体が溜まっているような見え方になっています。

CT画像で確認したところ、この症例に関しては、結石も腫瘍性のものもなく、症状も全くなくまだ若い猫だったので、先天的に腎臓に奇形があり水腎症になってしまったと思われます。

血液検査でも尿検査でも、腎臓の機能自体は正常に働いていました。
ただ、腎臓は左右に二つあるので、一つが正常に機能していると血液検査や尿検査でも異常値が出ないことはあります。

この水腎症になった腎臓が機能しているのかどうかも、造影剤を使用したCT検査で判断することができます。


赤い線で挟んでいる線が右の正常な腎臓の尿管で、青い線で挟んでいる線が左の水腎症となった尿管です。

良くみると、右の尿管は造影剤が流れて白く染まっているのに対して、左の尿管は白く染まっておらず、造影剤が全く流れていないのが確認できます。

なので、左の水腎症となった腎臓は機能していないことがわかります。

このように、造影剤を使用したCT検査では腎臓の機能を評価することもできます。

今回の症例は現時点では、無症状で腎不全にもなっていなかったので治療の対象ではありませんでしたが、今後治療が必要なってくる場合もあるので、経過を見ていこうと思います。


獣医師 木場

投稿者 香椎ペットクリニック

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