動物病院コラム

2020年11月 4日 水曜日

CT検査のいろいろな見方

CT検査について、皆さんはどのようなイメージを持たれているでしょうか?

CT検査はレントゲン検査の一種です。

例えば、レントゲンを頭の先から尻尾まで細かく何枚も撮って、

それらを一枚ずつ見るのではなく、コンピューターが立体的に一つの個体として構築してくれるのです。

その立体的に構築された物を、どの断面でも、どの角度でも、どの厚みでも見ることができるのです。

そうやって構築されたもがこれ。


ワンちゃんの外貌です。
毛はうつりませんが、皮膚はリアルに見えます。

次は骨を中心に見てましょう。


ちょっと斜め上から見てる感じです。
次は真横から見ると、


次に、胸やお腹の中を見ていきましょう。


ちょっと骨が邪魔で見にくいので、骨を外します。


以上のように、実にいろいろな見方ができるのがCT検査です。
実際に僕らがみていく場合は、MPRと言って、3方向の断面でみていくことが多いです。

これがMPR画面です。
この画面の場合で、左上、左下、右、の3画面があります。
細かくて見にくいですが、拡大して見てみてください。
左上の画面は、右と左下の画面のオレンジのラインの断面、
左下の画面は、右と左上の画面の紫のラインの断面、
右の画面は、左上と左下の画面の青のラインの断面、
となります。
、、、なんとなくわかるでしょうか?
これらのラインを動かすことで、各画面が連動して断面を連続的に観察することが可能です。

CT検査は、多くの場所を、より細かくみていくことができます。
その分、その情報量はかなりのものになります。
当院では、撮影したCTデータを当院獣医師が診るだけでなく、
画像診断専門医にも読影依頼することで、
より精度の高い検査にしていく事を心がけています。

以上、CT検査のいろいろな見方、でした(^^)

獣医師;河野





投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2020年10月20日 火曜日

ぽんずちゃんの成長記録②

今回は我が家の愛犬ぽんずちゃんの近況を報告します。

お仕事がある日はお家でお留守番をしてもらっているのですが、ときおりいたずらをしている時があります。具体的にはペットシーツをビリビリにしていたり靴下をぐちゃぐちゃにしていたりなどです。

いたずらをしているときは、玄関のドアを開けた時のリアクションが変わるのですぐにわかります(笑)

まだ遊びたい盛りですし、お留守番のストレスもあるんでしょう。

お休みの日は一緒に外に出てストレス発散を心がけています。



これは海に行った時の写真です。はじめての海に興奮してました。






これはドックランに行った時の写真です。
今まで2回行ったのですが、1回目は怖がって全く動かなかったのですが、2回目はほかのワンちゃんと少しコミュニケーションをとっていたので成長を感じました。(笑)



9月末に1歳を迎えたのでケーキを食べさせるとびっくりするくらいよろこんました。

またかわいい写真をお見せいたします。(笑)

獣医師;永松

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2020年10月13日 火曜日

CT検査vol.31

今回紹介する症例は、水腎症の猫です。

腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱に溜まり排尿で外に出ていくのが正常ですが、
腎臓や尿管で閉塞が起こってしまい、腎臓に尿がたまってしまうことがあります。
これを水腎症といいます。

水腎症には先天的なものと後天的なものがあり、後天的なものは結石や腫瘍などが原因で発症します。

今回の症例のCT画像をみていきましょう。


赤い線で囲ってあるものが右の腎臓で、青い線で囲ってあるものが左の腎臓です。

右の腎臓は正常で、CT検査で造影剤を使用して撮影すると通常このようにみえますが、左の腎臓は水腎症になったおり、液体が溜まっているような見え方になっています。

CT画像で確認したところ、この症例に関しては、結石も腫瘍性のものもなく、症状も全くなくまだ若い猫だったので、先天的に腎臓に奇形があり水腎症になってしまったと思われます。

血液検査でも尿検査でも、腎臓の機能自体は正常に働いていました。
ただ、腎臓は左右に二つあるので、一つが正常に機能していると血液検査や尿検査でも異常値が出ないことはあります。

この水腎症になった腎臓が機能しているのかどうかも、造影剤を使用したCT検査で判断することができます。


赤い線で挟んでいる線が右の正常な腎臓の尿管で、青い線で挟んでいる線が左の水腎症となった尿管です。

良くみると、右の尿管は造影剤が流れて白く染まっているのに対して、左の尿管は白く染まっておらず、造影剤が全く流れていないのが確認できます。

なので、左の水腎症となった腎臓は機能していないことがわかります。

このように、造影剤を使用したCT検査では腎臓の機能を評価することもできます。

今回の症例は現時点では、無症状で腎不全にもなっていなかったので治療の対象ではありませんでしたが、今後治療が必要なってくる場合もあるので、経過を見ていこうと思います。


獣医師 木場

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2020年10月12日 月曜日

CT検査vol.30

今回は猫の歯根膿瘍の症例を紹介します。

もともとの主訴は、ご飯が食べにくそうとのことで来院されました。

最初に診て気付いたのが、下顎がしゃくれてるように思えました。
もちろん、もともとしゃくれている猫もいますが、良く診てみるとやや腫れているような感じがありました。

ただの腫れなのか、腫瘍なのか...
この段階では、歯石もかなり付いていたのと、まだ若い猫だったので歯根膿瘍からの腫れかなと思われました。

もともと、歯科処置も希望されていたので、歯科処置の前に腫瘍の可能性も考慮してCT検査を実施することができました。





青い丸でかかっている部分が、下顎の骨で、赤い線でなぞっている部分が腫れている箇所です。
腫れている部分には、造影剤が全体的に白く染まっており、あきらかな塊状物があるようにはみられませんでした。

さらに付近の下顎の犬歯の部分をみてみます。




一枚目は右下の犬歯で二枚目は左下の犬歯です。
少しわかりづらいですが、次の画像をみてみましょう。


これは一枚目の写真ですが、青い線でなぞっている部分が下顎の骨で、赤い線で囲っている部分が犬歯です。
これを、二枚目の画像と比較してみてみると、一枚目の犬歯の根元が抜けているようにみえ、溶けているのがわかります。

なので、下顎の犬歯が歯根膿瘍になっており、そこからの炎症で顎の先端が腫れている可能性が高まりました。

歯科処置で抜歯をしたところ、2〜3日で腫れは引いてきました。

今回は、炎症性の腫れだったので、処置後に改善が見られましたが、腫瘍の可能性ももちろんあります。

飼われている動物達に少しでも腫れを感じたら、
まずは病院に連れていきましょう。

獣医師 木場

投稿者 香椎ペットクリニック | 記事URL

2020年9月19日 土曜日

眼の痛み

みなさんは、動物たちの眼の痛みにはどうやって気づきますか?





多くは、
「眼をしょぼしょぼさせている」
「ウィンクしたみたいに閉じている」
というのが多いかと思います。
この症状は羞明(しゅうめい)症状といって、代表的な症状です。





軽度の場合は、充血や流涙、羞明、瞬膜の露出などですが、
重度の場合は元気や食欲がなくなり、完全に閉眼したり、
触ろうとすると咬みつく行為を見せたりもします。





眼や眼周囲の痛覚は、角膜・虹彩・毛様体、眼の周囲組織に分布しています。
どの部分が障害を受けても、一様に痛みの症状を訴えます。
ヒトなら眼の表面が痛いのか、眼の奥が痛いのか、聞くことは出来ますが、
動物たちはそれは不可能です。
ですから検査とオーナーからの稟告で
どこに異常があるかを推測していかなければなりません。





痛みを伴う眼の疾患としては、
角膜の異常(角膜炎、角膜損傷、角膜上皮びらん、角膜潰瘍、角膜穿孔)、
水晶体脱臼、急性緑内障、ブドウ膜炎などがあります。
最近、個人的によく診察しているのが、角膜損傷、角膜上皮びらんという疾患です。





角膜の表面に小さくても傷が入ると、痛みが発生し、
羞明や流涙、充血といった症状を見せます。
損傷の程度が軽く、適切な治療を受ければ、
2~3日もすると羞明症状は改善されることが多いです。
もし、一週間経っても痛みの改善がなければ、
上皮びらんや潰瘍へと移行しているのではと疑います。





この症例は1週間前に角膜損傷と診断し治療した症例です。
同居犬と遊んでて、爪により僅かな線状の傷がついていました。
治療開始後、数日間は眼も開いて、充血も改善してましたが、
6日目くらいにまた眼を閉じるようになり再来院しました。











傷があったところは白いもやのように変化していました。
最初の検査では傷を染色する検査は陰性でした。





しかし角膜上皮びらんを疑い、点眼麻酔後に角膜表面を滅菌綿棒で擦ってみると、














ご覧のように薄皮が剥けたように角膜上皮が剥がれました。
この部分をきれいに除去して、上皮びらんに対応した治療に変更したところ、
数週間で治癒いたしました。
現在のところ再発は認められていません。





軽度の角膜の傷であれば、
1週間も痛みが持続することはあまりないので、
羞明などの眼の異常を訴える症状が見られるときは、
あまり様子を見ないで診察を受けられてください。





獣医師 高木

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